ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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道道580号美馬牛神楽線

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道道580号美馬牛神楽線の取扱説明書

後世にそのまま残したい道を全国から10本選べと言われたならば選考リストに間違いなく真っ先に入るのがここ道道580号美馬牛神楽線だ。美瑛の丘と違い無意識に形成された丘を突く農作業道と何等変わらない1本の砂利道は我々が今、失いつつある何かを教えてくれる。美瑛の丘でシャッターを切る事はあっても、癒されるとしてもそれらは自己満足でしかない事に対し道道580号美馬牛神楽線はこれからどうすべきか、どう考えるべきかを自然から謙虚に学ぶ姿勢さえあれば多くの事を教えてくれる現存する貴重な未舗装道道である。

 

道道580号美馬牛神楽線1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

今や美瑛の丘を知らない人はいないだろう。人工的に創り出された丘は小麦、じゃがいも畑、転がる巨大なクリームコロンに時折カラマツ林がトッピングされた丘陵美は使い捨てカメラで撮っても誰もが風景写真家となれる程だ。目玉と呼べる観光施設も景勝地もない丘陵地帯が一転し注目される存在になった事は非常に

道道580号美馬牛神楽線2/ORR

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興味深い。一昔前だと何か特徴のあるアトラクションがあるとか他にはない何かがある事が観光の条件だったような気がする。ところが美瑛の丘には基本的に何もないのである。畑と人口樹林しかない。意識してそうしたのかどうかは分からないが、滑らかにアップダウンする丘を区画ごとに違う作物を植えたりカラマツの

道道580号美馬牛神楽線3/ORR

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植樹帯を挟んだりする事によりカラフルな丘の出来上がりとなり、それは見事という他ない。美馬牛駅で下車し無人の改札口を出たへなり少年の目の前には砂利道が広がっていた。駅へと繋がる道のどれもが砂利道だった。美馬牛駅の真向かいにある商店に入りパンとジュースを購入しおばちゃんと話をしていると自転車を

道道580号美馬牛神楽線4/ORR

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貸してくれると言う。僕等は走った変速機など無い使い古したママチャリで。行き交う道のほぼ全てが砂利道で都会のアスファルトジャンゴーしか走った事のない者としては未舗装路というものが非常に走り辛かった。ただ舗装しておけよとは思わなかった。延々と続くアップダウンの砂利道で僕等はハァハァ息を切らせながら

道道580号美馬牛神楽線5/ORR

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ひたすらペダルを漕いだ。走り難さと引き換えに自然に近い状態の路面状況に新鮮な感動を覚えている自分がいた。今でこそ美瑛の丘もアスファルト舗装が当たり前となってしまったが、もう一度あの頃の古き良き時代を体感してみたい。そんな僕のささやかな夢を叶えてくれたのが道道580号美馬牛神楽線だ。

道道580号美馬牛神楽線6/ORR

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美瑛の丘とは国道を隔てた向かい側に位置する為全くと言っていい程人気が無い。道道と指し示す物は道中何ひとつ存在せず畑のど真ん中を突く砂利道は全く道道らしさが無く、名も無き農作業道のようだ。事実道道と知ってか知らずか農作業に来た軽トラが堂々と道の真ん中に止めてあったりするのだ。いやはや

道道580号美馬牛神楽線7/ORR

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何とも微笑ましい光景である。美瑛の丘のような計算された風景ではなく雑ではあるが無意識に形作られた地形は美瑛の丘の原点と言える。何も意識せずごく自然な形の丘陵風景はこれからもそのままであり続けて欲しいと願わずにはいられない。

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