ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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福井県道248号武生池田線

★★★★

 

福井県道248号武生池田線の取扱説明書

岐阜県から福井県にかけて南北に延びる2本の有名な酷道がある。ひとつは国道157号線温見峠、もうひとつは国道417号線冠山峠である。国道417号線冠山峠区間は正確に言えば冠山林道であり、寸断された国道を連絡林道が繋いでいる形だ。まあただ単に国道指定されていないだけとも言えるが。その国道417号線が市街地へとなだれ込む寸前に出現する何とも奇妙な道が、今回紹介する福井県道248号武生池田線である。

 

福井県道248号武生池田線

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岐阜から先の見えない何とも疲れるだけの冠山峠を越え、終わりなきアクセルワークで手が完全に死んだ辺りで、やっと幅員も広がり信号機も設置されているまともな町に抜ける。そこから市街地まではもう一山越えねばならないが2車線の快適な規格となるので、そこから先はストレスをほとんど感じる事はない。板垣トンネルを抜けて少し進んだ先のコーナーに問題の県道がある。

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福井県道248号武生池田線。今でこそこの道を意識する事なく走り抜けているが、この道を初めて通過した1996年当時僕の受けた衝撃は並大抵のものではなかった。確かこの辺に県道があるはずだが。僕はXRのデジタルメーターを見ながらほぼ正確に歩を進めてきた。そして該当するであろう1本の極細道を発見する。その道以外にそれと思われる派生する道は全く存在しない。

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しかしだ、目の前に派生する道は国道から分岐した途端に砂利道であり、誰がどう見ても単なる林道なのだ。勿論青看もなければヘキサも無い。これが県道なのか?半信半疑のまま進入するも、疑いの度合いは進めば進む程色濃くなっていった。だってだってだよ、どこまでも続く砂利道のヘアピンコナーナーって何ざんしょ?

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コーナー部で何とか対向車を交わせるも、それ以外は普通車同士の離合は不能であり道中は警戒標識はおろかカーブミラーさえも存在せず、この余りにも県道の常識を逸脱しているこの道に半ば林道なのではないかという思いが強くなっていった。九十九俺区間にてだいぶ高度を下げたのだろう、先程までのジェットコースターのような強烈さは影を潜め道路状況としてはだいぶ落ち着きを取り戻した。

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相変わらず林道ではないかという疑いは晴れないが、それとは別にいつしか僕はこの道の魅力に執り憑かれていた。気が付けば直線路の両脇には年輪を重ねた巨樹が乱立し、鳥のさえずりひとつない時が止まったかのような静寂な空間は水木ワールドのそれであった。ねずみ男やこなき爺が出てきそうという事ではなく、作者はこのような空間から創造力を膨らませ、作品を作り上げたのではないかと思える不思議な空間がそこにはあった。

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これまで数多くの林道を走っているが、このような空間に出会う事は非常に稀であり、その点ひとつとっても、この道に出会えた事は大きな収穫であったと言える。やがて人の温もりが感じられる里まで降りてくると砂利道は終了し無機質なアスファルトが姿を現した時点で僕の不思議な高揚感も一気にダウンした。

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それでもここには日本の古き良き里山の風景が現存しており、また何度でも訪れたいと思わせるには充分な光景が広がっている。以後幾度となくこの道を利用している訳だが、この道が福井県道248号武生池田線である事を指し示す唯一の証拠が県名入りのデリネータである。が、んな事はどーでもよく、僕はこの道を愛して止まないのである。

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