ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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湯峰峠

 

湯峰峠の取扱説明書

県北の小京都と呼ばれる飛騨高山から北上する事約10kmの地点に飛騨古川という小さな町がある。その古川を中心に東西に両腕を広げる県道75号神岡河合線は、並行する国道41号線と国道360号線の補佐役として重要な役割を担っている。古川より右の神原峠越えが国道より降格した幹線道路である事は周知の通りであるが、左の白川郷へと抜け出る湯峰峠は今も昔も県道の域を出ていない田舎道の途中にある。山深い奥飛騨にあって湯峰峠は難易度の低い峠で、トンネルの必要性はあまり感じられないが、湯峰トンネルの開通に伴い世紀を跨ぐ事なく、湯峰峠は旧道の仲間入りを果たした。

 

湯峰峠1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

飛騨高山や古川から世界遺産に登録される白川郷へ抜けるのに、国道360号線の天生峠を避けて通る事は出来ない。雪解け後や集中豪雨が発生するたびに大災害に見舞われ、天生峠を万年開かずの有名無実な峠道と認識している方も少なくないだろう。河合の最終集落で迂回させられた事数知れず、また国道のショートカット

湯峰峠2/ORR

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として県道75号線を利用する機会は多い。走り慣れた湯峰峠に二車線の快走路が横断している姿に、僕は大いなる違和感を覚えた。確かに見通しの悪い急カーブが続くのだが、峰越区間の距離はそれほど長い訳でもなく、勾配も比較的緩やかな部類に属し、トンネルの必要性はあまり感じられない。従って湯峰トンネルを

湯峰峠3/ORR

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含む立派な新道を目の当たりにしても、どこか腑に落ちない部分があった。その原因はやはりこの先の天生峠との対比にあるようだ。700mそこそこの緩やかな峠にはトンネルを穿ち、1289mの唯一の生命線にして最難所の天生峠に何故風穴を開けぬのか?そのような疑問も間もなく開通する東海北陸自動車道の飛騨

湯峰峠4/ORR

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トンネルがあるじゃないかええじゃないかと、お上の手によって有耶無耶とされそうな勢いではあるが、チャリ・歩行者・原チャは今後も災害のたびに大迂回を強いられるので、明日にでも天生トンネルの着工に取り掛かってほしい。さて湯峰峠であるが、ご覧のようにサミットはコーナー状になっていて、峠の向こう側は見えない。

湯峰峠5/ORR

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深さ2mほどの浅い堀割で尾根を跨いだ旧道は、休む間もなく下りへ転じる。サミットの手前より左斜面を駆け上がる未舗装路は車道でないと承知しつつも、以前から気になっていた魅惑の路線に今回初めて足を踏み入れた。当初は旧旧道の一部かと疑った切り通しの上を行く小道はすぐに歩道サイズへと縮小し、開設当初から

湯峰峠6/ORR

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車道とは無関係であったと主張する。以後旧道とは離れる一方のその小径が、小鷹利城跡へと通ずる遊歩道である事を知る。こんな場所に城を構えていた事に驚くと共に、いったい年間にして何人の人がこの史跡を訪問するのだろうかといらぬ心配をしてしまうほど寂れている。元々湯峰峠付近に人家は皆無で、ただでさえ

湯峰峠7/ORR

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素通りするだけの場所が、湯峰トンネルの開通によって今や閑古鳥が鳴きまくるほど閑散としており、小鷹利城どころか湯峰峠を路線バスが越していた事さえ、忘却の彼方へ置き去りにされるのも時間の問題である。先人達が切り拓いた稜線上最も低いW字形の凹み。トンネルが口を開けた今そこを通る車両は幾許もない。

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