ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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原峠

 

原峠の前説

神楽坂トンネルの罪深きショートカットの仕業で京の都へ行くには大幅に楽になった訳だが、その分余計に大きく迂回させられているような錯覚に陥り、結果苦行のような行程は苦痛以外の何者でもなく旧道派でもちょっと引いてしまうのが原峠だ。

 

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トンネルを含む新道が開通したおかげでどれだけ便利になり、どれほどの恩恵を得たのか計り知れない場所というのは星の数ほど存在し、道路の歴史とはまさに新道と旧道が同時に発生する事の繰り返しであった。新道を建設するに当たって果たしてその効果が期待できるものなのかどうかは、実際現地にて峠越えをしてみて始めて答える権利が与えられる。

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情報を知識として持っていてウンチクを語っているだけでは図面を眺めどのラインに道を通そうかと机上の空論に花を咲かせる役人と何等変わらない。問題は傘がないという事だ、と井上揚水氏も断言している。そしてこうも言っている、逝かなくちゃ!道に遭いに逝かなくちゃ。そう、実際に現地へ行かねば何も分からないし始まらないのだ。

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199711月神楽坂トンネルの完成により旧道と化した原峠。今尚現役であるかの如くヘキサが当たり前にように設置されたままだ。旧道化してまだ日が浅いせいか状態は非常に良好で何等かの理由により神楽坂トンネルが通行止となった場合迂回路として充分機能するだろう。なんて言える程甘くはないのが原峠だ。

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手持ちの地図をご覧頂ければ一目瞭然だが旧道は狂ったように大きく迂回を始め、その無駄な距離たるや尋常ではない!と言う説明は正確性に欠け、神楽坂トンネルが近代工法に物を言わせ大胆なショートカットを施した結果、旧道がバカみたいな迂回路に見えてしまうという事態が発生してしまった訳だ。おかげで原峠は放課後まで居残り組の劣等性扱いとなってしまった訳だが少し擁護しておきたい。

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まず数年前までは立派な主要県道として機能してきた事は、今でも現存するヘキサが証明している。道中から眺める景色も素晴らしい。原峠には複数の標識が当事のまま残されており道路遺構が多い点も高評価できる。峠には車が数台駐車可能なスペースが設けられていて安心して休憩する事が可能だ。

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また、原峠そのものは町境で、浅い切り通しの1車線と狭いながらも路面は程よく苔生していて独特の雰囲気があっていい感じに仕上がっている。下りも杉木立の気分のいい道で夜間は苦痛以外の何者でもないが日中晴れているという条件であれば僕なら間違いなく旧道を通るが、神楽坂トンネルの大胆なショートカットによる甘い誘惑は一般車ではイチコロだ。

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峠から林道が派生している事もあり、今後も荒廃する事なく利用され続ける事は間違いない原峠。旧道の峠越え区間を走り終えて思う事はとにかく長くて、もしヘキサが撤去されていたら県道とはとても信じられず、未開通県道だった箇所に神楽坂トンネルを突いてやっと繋がったのねで処理しても公文書偽証罪には問われない程の剣道であった。

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