ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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天引峠

 

天引峠の前説

全国クラスの強烈物件が数多く眠るこの界隈において、限りなく生温い走行が可能な旧道の峠道が天引峠である。道程や景色や距離とどれをとっても中途半端な峠で、規制も敷かれていなくいつでも通り抜け可能な事から印象に残り辛い峠道である。

 

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京都大阪兵庫の三県が接するこの地域には有名所の物件が数多く存在する。まずは強烈物件から手を付けたいのは初心者もベテランも同じである。取材リストから漏れ、後回しになってしまう物件達は、膨大な数のその他大勢の中に埋もれながら、世に発表される時を今か今かと待っている。だがしかし一向にお呼びのかからない物件もある。篠山街道と呼ばれるこの道に、そんなお呼びでない峠道のひとつが天引峠である。

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何故お呼びでないのか?それは単につまらないからである。ここには歴史を感じさせる重厚な道路遺構も、感動せずにはいられないような景色も、ハラハラドキドキのセクションも、挑戦的なゲートさえも存在しないのだ。近隣に強烈物件が多数名を連ねる中にあって、天引峠はあまりにもみすぼらしかった。特にこの峠に大きな期待を抱いてきた場合はその落差に落胆を通り越し、激しい怒りさえ覚えるだろう。

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長距離移動の途中、地図を確認していると天引峠なるものが目に留まった。その昔越えた時は峰越えルートしか存在しなかった天引峠にもトンネルが突かれ最新版の地図では国道色の赤色ではなく、無色となっている天引峠を見て、急に色気を感じて寄り道する事にした。僕が旧道を意識する以前の遠い昔に通過し、しかもその頃は現役バリバリであったこの峠道を覚えているはずもなく、フラットな気持ちで挑む事となった。

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現地に到着した僕は勢い余って天引トンネルまで達してしまったが、右側へと上り行く細道を見逃しはしなかった。扁額を確認しUターンすると、旧道と思わしき分岐点へとそそくさと戻った。さあいったいどんな峠道が待ち受けているのだろうか?果たしてあっさり通過できるのか?ゲートはないのか等々、期待と不安を抱きながら僕は天引峠へ向けてゆっくりと第一歩を踏み出した。

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まず最初に現れたのが道路脇にひっそりと佇むミニミニおにぎりの存在であった。国道指定を外されながらも何とかこの道がかつて国道であった事を、握り拳よりも小さなおにぎりが、通リ過ぎ行く者へ訴えかけていた。幸先の良いスタートだ。普通車同士の離合が厳しい1.5車線で始まる旧道は、本来2車線であったものを、新道建設の際削られてしまったようだ。

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それを裏付けるように幅員はすぐに2車線へと回復する。特に見所もないまま、平凡な2車線路は天引峠に差し掛かった。余りにも平凡な峠に言葉を失う。そこにあったのは今日どこにでも見られる極一般的な峠の形状であった。県境を指し示す白看だけが外され、何故か峠にはおにぎりだけが残されているのも意味不明である。

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さあ下りにはどんなものが待ち受けているのだろうか?という期待を大きく裏切り、あっちゅう間に現道へと達してしまった。あわや500円玉かと思ったら500ウォン硬貨だったみたいな、ちぇっ!とか言いながら古いタイプの自販機で使っちゃうみたいな、たまたま張り込み中の刑事に捕まっちゃうみたいな、そんな納得のゆかなさを感じる天引峠であった。

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