ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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春来峠

★★

 

春来峠の前説

19753月春来トンネルが完成し春来峠は旧道となり県道に降格した。オール2車線という現在でも迂回路として充分代役を果たせる状態ではあるが、最後の最後に春来トンネルを造らねばならない決定的な場面に遭遇し、後から思えばそれは地図からも読み取れる程の凄まじい光景であった。

 

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登坂車線もある立派な道路になっている国道の脇に並走する県道がある。国道はストレートに山裾へ向かい、迷う事なく春来トンネルへと突き進む。それはその土地の地形を無視したかのような線形で、道路ありきで後からつじつまを合わせるかの様な工法は最先端土木技術の成せる技、に対し蛇がとぐろを巻くようにいくつものコーナーを忠実に山肌に合わせて無理のない線形の県道。

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それでも2車線を確保し春来トンネルが完成するまでの間この道1本で大動脈を支えてきた。そうこの県道こそがかつての主要国道春来峠越えルートである。旧道と現道との余りのギャップに開いた口が塞がらないといった状況は良くある事だが、ここ春来峠に関してはそれは該当しない。オール2車線の立派な道は現在でも通用する程で難所といった感じは全くない。

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春来トンネル真上を明後日の方向に行きつ戻りつを何度か繰り返し巨大な切り通しを迎える。もしこの道が一般県道で1車線〜1.5車線であればトンネルで通していたのではないかと思える程、稜線の一部がごっそり削り取られ、その面積はいかほどなのだろうか?

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現代でこそトンネルにしないでオープンカットで巨大な切り通しとする工法は高速道路で良く見られるが、春来トンネル完成以前から存在し、今でも大型車同士の離合を楽勝でこなしてしまう幅員の巨大な切り通しは圧巻としか言い様がない。現道との分岐から人家が一軒も無かったのに切り通しを越えた途端に目の前が開け、何も無いと思い込んでいた山中に突如出現する集落は天空の村と呼ぶに相応しく意表を衝く展開は走っていて飽きがない。

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道路沿いに民家が密集した集落を抜けると再び道路以外は何もない深い山中となる。実は先程の巨大な切り通しこそが春来峠であると当初思っていたのだが、村を抜けてから旧道は更に高度を増し本当のピークを迎える。ここが春来峠である。峠には駐車スペースも自販機もここが峠である事を指し示す標識さえも存在しない。

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2車線の無機質なアスファルトが前後に続き、そこを境に両方向共に下っているだけに過ぎない。浅い切り通しで、ぶっちゃけ春来峠自体は全く面白味がないんですわ。峠からの下りは再び開けて風光明媚な景色が広がり日本の田舎風景に癒されます。と、ここまではわざわざ春来トンネルを造らなくてもいいんでないの?と思えるのだがクライマックスは最後に用意されているのだ。

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全体像が余りにも巨大過ぎてお見せできないのが残念だが東洋の壁とも思えるような物凄い高度差を幾十にも重なる九十九俺により無謀とも思える規格で強引に通していたのだよ国道としてね。地図上でもそれは充分想像できると思うが、現地でその落差を実際に体感すればより納得できる事だろう。

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