ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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大川峠

 

大川峠の前説

かつて陸軍の要塞として機能していた友ヶ島。現在は行楽地としてすっかり定着していて、大阪方面から人々がどっと押し寄せる夏季の大渋滞は半端ではなく、普段は冷静沈着な僕でさえキレて取り乱した挙句、女子更衣室に遠隔操作機能付きポータブル隠しカメラを設置してしまうほどだ。そんな罪深き地ノ島、沖ノ島、虎島、神島の四島からなる友ヶ島と友ヶ島水道を挟んだ対岸の成ヶ島を一望にするのが大川峠である。近年大川トンネルが完成し、すっかり静まり返っているであろう大川峠の今を訪ねてみた。

 

大川峠[ORRの道路調査報告書]

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市内から程近い岬の突端にそれはあった。ほぼ全線バイパス化された海沿いの国道を大阪方面から白昼堂々怒りの120キロ巡航でかっ飛ばすのは、なにわ最強の武闘集団ダンジリファイター。そのエネルギー値は岸和田付近でピークに達し、その後は徐々に収束しつつ、大川峠で沈静化するという定説は今も昔も大きく変わらない。直線路ではいくら弾丸となろうとも、大川峠でその有り余るスピードは仇となる。

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ここでは頭文字D系のお兄たま達に一日の長がある。地図ではたいした事のない道程に見えたが、これが結構その筋の方達にとっては走り応えのある何とも絶妙なコースとなっているのだ。一般車も通行する現道時代は夜な夜な集まっては派手なパフォーマンスでギャラリーを魅了するお兄たま達が、旧道と化した今大手を振って日中から火花を散らしているのかしらん?と多少の期待はしていたのだが、その読みは見事に外れた。

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まだまだ未改良である加太港の極狭区間を抜け、2車線の主要県道らしい立派な規格に落ち着くと、すぐに青看のお出迎えだ。いったいどこへ通ずる道の事だろうと思いつつ青看に目をやると、それはなんと大川トンネルと旧道の大川峠に道が二手に分かれている事を示していたのである。経験上旧道化された道は何の案内も無いのが一般的だ。だがここは違った。

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青看の旧道方面には大川峠と書かれているだけでなく、県道番号まで記載されているのだ。いまだに県道という扱いなのだろうか?市販の地図上では白線、つまり市町村道に格下げされている事になっている。だが現地では県道指定は解除されていない御様子。それを象徴するかのような出来事がこの後次々と起こるのだ。僕はてっきり人気の無い寂れた峠という想定でこの地へやってきた訳だが、想定外の事態に少々拍子抜けしてしまった。

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それは装飾も糞も無い単なる斜面に穴を開けただけの大川トンネルから始まる。坑門脇から派生する枝道が旧道であるが、なんてこたぁない追い越し禁止のセンターラインが延々と続く普通の2車線路であった。てっきり1.5車線の狭い道程という勝手な先入観を持っていた訳だが、それは見事に打ち砕かれる。それだけではない。

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交通量が想像以上に多いのにも驚いた。MTBから始まって、単車に四輪はたまたウォーキングしている人まで多種多彩な人種が大川峠を越して行くのだ。それも次から次へと途切れる事なく両方向から車両がやってくるのだ。直下に楽チンな長大トンネルがあるのにだ。もうそこに一般的な旧道の概念は通用しなかった。峠は2車線の切り通しで、駐車場も無ければ視界が開ける訳でもなく、峠で立ち止まる者は皆無であった。

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その代わり峠の下りは友ヶ島水道を眼下に見据え大変素晴らしい眺望が待ち構えていた。そして道中には今でもヘキサが撤去されずに、大川峠が現役の県道である事を主張していたのだ。という訳で大川峠は旧道化した後も現役の県道である事が判明した。峠の評価は最低だが、大川峠は多くの人々に今も愛され続けているのである。

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