ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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白杭峠

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白杭峠の前説

これまで越えた峠は数百ではきかない、その僕に必要にして充分なインパクトを与え、甘い!と喝を入れてくれたのがこの白杭峠だ。日本の峠をある程度は知ったつもりでいたが、その考えは根底から覆された。余りにも知り過ぎていつ世の中から消されてもおかしくはない存在の僕ちんも白杭峠から「大丈夫お前はまだ何も知っちゃぁいない」とお墨付きを頂いた事で初心に戻ってフラットな状態で探索を続けようと誓った。後日東京で自分を親指で指しながら峠の事なら俺っちに聞いてと女子供相手に自信満々に語っているへなりが目撃されているが、あくまで未確認情報として処理したい。

 

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この県道に白杭トンネルが完成したのが19946月であるから比較的最近まで白杭峠は利用されていた訳だが地図で確認する限り険しそうな印象でそれはこの地へ向かう途中の未改良区間からしても白杭峠がかなりの難所である事は疑いようがなかった。白杭トンネルは2車線のそれは立派なトンネルで、接続する広域農道も2車線とここだけは近代的な交差点となってはいる。

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だがここへ至る県道だけが極狭の1車線で、大型車の通り抜けを許していない。トンネル脇に新たに取り付けられた旧道への道筋であるが、利用者はほとんどいないのだろう。路面にはびっしりと苔が生え、その姿は美しいとさえ言える。極狭のアスファルトを覆い尽くす緑の絨毯はこの後の白杭峠の様子を予感させ武者震いさえした。

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峠に近づくにつれ倒木が目立ち始め、嫌な予感がする。鬱蒼とした森は手入れされる事もなく自然本来の治癒力で元の状態に戻ろうとしているようだった。果たして峠を越えられるのか?内心駄目かもと諦めかけたその時、稜線を割く切通しが目の前に現れた。白杭峠だ!僕はこの切通しを見た瞬間体に電気が走るようなショックを受けた。この世のものとは思えないそれはそれは美しい峠であった。

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この美しいという表現が妥当なのか、また何が美しいのか理解できない方も多いと思われるが、弧を描くような切通しの白杭峠の両側は一部崩壊しているものの立派な石垣が組まれており正確に積み上げられた工法は素人目にもかなり古い時代のもので、この道が重要な街道筋であった事を示唆している。

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いったいどれ位の歳月をかけたらこのような姿になるのだろう、苔の被膜効果により古臭さを増した石垣はタイムスリップしたかのような感覚を与え、籠や人力車が突然現れても何等違和感はない。またしっかりと標識が朽ち果てながらも残っているのが凄い。大型車進入禁止の白杭峠であるが道中は普通車の離合もままならない程狭く厳しい峠であった。

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この県道は近代的なコンクリによる補強などが全く施されておらず後年設置された物としてはガードレールと標識類だけで古い街道筋にアスファルトを敷いただけのほぼ昔ながらの原型を留めている事は明らかであった。これまで沢山の峠を越えてきたが白杭峠は己の甘さを痛感するには充分なインパクトを持った峠であった。

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一般の人が一生涯に越える峠の数以上の峠をこれまで越えてきて日本の峠を多々見てきて多少の事は語れると思っていたが甘かった。日本にはまだまだ未知の峠、それも歴史的価値のある貴重な峠が数多く眠っているに違いない。白杭峠は路面が未舗装だったらパーフェクトと言えるがそれを差し引いても尚強烈なインパクトで我々を迎え入れ目を覚まさせてくれる有難い峠であった。

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