ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>旧道電撃ネットワーク>山陰>島根>野坂峠(十国野坂峠)

野坂峠(十国野坂峠)

★★★★★

 

野坂峠(十国野坂峠)の前説

膨大な数の峠を越えていると同じような名称の峠にぶち当たる事も多くなってきた。同県内の国道に同じ名称の峠が存在するので、この峠に突かれた十国トンネルからその名を取り国道の峠とは区別する事にした。峠に残る立派な道路遺構はこの道がかなり古くから使われてきた重要な道であった事は疑い様がなく峠からの景色は望めないものの道中から日本海が見える点で相殺され文句なしの評価となった。

 

野坂峠(十国野坂峠)[ORRの道路調査報告書]

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

日本海と内陸部を縦に走るこの県道も随分改良が加えられ以前より走り易くはなってきた。この勢いだと全線に渡り快適な2車線路となるのも、そう遠い未来の話ではなさそうだ。この県道に立ちはだかる最大の難所が野坂峠で、真っ先に改良が施されたのは恐らく野坂峠に違いない。険しい峠越えを避け隧道を突いたのが隧道の銘板を見る限り19766月との事であるから、旧道が現役を退いてから、もうかれこれ30年も経つ事になる。

image003.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現在でも拡幅改良工事を続けているこの県道において、最も早く手が付けられたのが野坂峠である事は間違いないだろう。この地ではその昔から難所として認知されていたのかも知れない。それはこの後野坂峠にて全てが明らかとなる。旧道は現道と分かれても眼下に現道を見据えながら地形に無理のない線形で峠越えを果たすべくいくつか切れ込んだ峰のどれかを狙っているようだ。

image005.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

この時点でどのX字を狙っているのかは定かでないが、明らかにターゲットを見据えて樹海へと潜り込む。木漏れ日が織り成すコントラストの幻想的な景色とは対照的に旧道は1車線の厳しい山道であった。アスファルトではあるのだが、数十年も前のものであちこちが痛み始めている。いっその事アスファルトは全て引っ剥がして昔の状態に戻した方がいいと思う。

image007.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

というのも僕は旧道に入った時点で昭和の雰囲気が感じられるもその線形からもっともっと古い時代から使われていたのではないかという感触を掴んでいた。物的証拠などは何もない。しかしこれまで見てきた街道系の雰囲気を感じ取っていた。それは鬱蒼とした樹林地帯に入っても全く変わりなく、カーブの先に現れた巨大な切り通しでそれと思わせる遺構が姿を現しなんとなく想像していたものがいよいよ現実味を帯びてきた。

image009.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

野坂峠、現在でこそ1車線状態となっているが実幅は完全な2車線でその両脇にしっかりと残る立派な石垣は乱れ石を積み上げたものではなく何等かの意図を持って一定の大きさで切り出された石を丁寧に組み上げていた。例えるなら城を取り囲む石垣である。あなたは適当な石を積み上げた城を見た事があるだろうか?

image011.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

僕はこれまでそんな城を見た事はなく、どれも計算され隙間なく積み上げられた芸術作品のような仕上がりのものしか見た事がない。様々な意図があるのだろうが、一番求められるのは頑丈さではないだろか?野坂峠はそう簡単に崩れてもらっては困る理由があった。海沿いと内陸部を繋ぐこの峠道は海の物と山の物が行き交う重要な道であったのではないだろうか?

image013.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

その昔から相互にない物資を運搬する塩の道のような重要な街道だったのではないかと僕は睨んでいる。苔生した年代物の丁寧に組まれた石垣からそう解釈せざるを得ない。こちら側はトンネルの直前に繋がっていた。いつかは深く掘り下げてみたい、そう思わせるに十分なインパクトを持った峠であった。

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ