ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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北道林道

★★★

 

北道林道の取扱説明書

日本海側の湿地帯を避けやや内陸に入った天塩川沿いに幌延という小さな町がある。稚内まで車で1時間圏内に位置し、国道40号線とJR宗谷本線が揃ってパンケ沼やペンペ沼の湿原へと活路を見出す中、道道は乾いた丘陵地帯へとその矛先を向ける。石油成分が混じり地元では油風呂とも呼ばれる豊富温泉(町営ふれあいセンター420円)と幌延市街地とを結ぶ豊幌林道から、極上の砂利道が枝分かれしている事は余り知られていない。豊幌林道と道道121号稚内幌延線を繋ぐ地域密着型ショートダートの北道林道。大多数がサロベツ原野へと意識が集中し、一介の無名林道まで気がまわらないという実情は理解できるが、これほどの極上物件はそうそうお目にかかれるものではなく、距離がもう少し長かければ北道林道は全国区でも通用するお宝林道である。

 

北道林道1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

豊富温泉と幌延市街地とを結ぶ豊幌林道との何気ない分岐から北道林道は始まる。T字路に立つ林道標識はやや色褪せ、更に背後より迫り来る植物の猛威に晒され、いつ呑み込まれてもおかしくない状況にあった。古くから使われているでもないが、新設林道とも違う。一介の旅人ならばロングダートの豊幌林道を爆走

北道林道2/ORR

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するだけで充分満足がゆくだろう。その道中に幾つか接続する枝道の一本に北道林道が隠れている。何気ないT字路でわざわざブレーキを踏むのは至難の業に近い。しかしブレーキを踏んでそこに足を踏み入れたが最後、そこは絵画の中へと迷い込んだかのような風景が展開し、荒んだ心を洗い流してくれる絶景へと

北道林道3/ORR

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誘われる。T字路より緩やかな勾配の直線路を駆け上がれば、起伏に富んだ丘陵地帯の真っただ中に出くわし、そこには牧歌的な風景が展開する。般ピーがこぞって美瑛へと雪崩れ込み、集客誘致目的の乱開発で急速に砂利道が失われて行く中、ここには手付かずの原風景がまだ残っていた。一条の砂利道が迷う事無く

北道林道4/ORR

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丘の向こうへと延びている。あの先にはどのような風景が待ち構えているのだろうか?そんな純粋且つ素朴な動機によって越えた丘の先で、僕は言葉を失った。背後に利尻富士を従え、砂利道を除くほぼ全ての台地が緑の絨毯に覆われ、遮るものがない空からは暖かな日差しが降り注ぐ。ここは桃源郷か?凡そ日本離れ

北道林道5/ORR

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した北欧風の丘の一角に僕は腰を下ろした。極上の空間を独り占めする贅沢な一時を過ごすには、前日のスーパー閉店間際に仕入れた半額ののり弁(190円)が良く似合う。強風でカピカピに凍った冷凍食品をそのまま口に放り込むような罰ゲームに等しい過酷な昼食も、この風景ならしっかり相殺してくれる。と言いたい

北道林道6/ORR

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所だが現実はそれほど甘くはない。遮るものが一切ない吹きっ晒しの丘で、蓋を開ればどうなるのか分りそうなものだが、蓋を開ければ瞬く間に重要なアイテムのちくわの磯辺揚げが宙を舞う。すかさず手を伸ばしたものの、箸の先は悲しいかな空を掴み、ちくわの磯辺揚げは大草原の彼方へと消えていった。フリーズドライ

北道林道7/ORR

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状態に近い白身魚のフライは、その重量から強風の難を逃れた。また昆布の佃煮も一部消失したものの、被害総額は30円程度に止まった。だが強風の置き土産として砂ふりかけがまんべんなく散りばめられ、口の中でジャリジャリいっていたのは言うまでもない。北道林道は支庁界を跨ぐ事なく道道121号線へと合流する。

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