ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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真駒内賀老林道

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真駒内賀老林道の取扱説明書

真駒内賀老林道は日本一のブナの原生林を突く本格的な山岳峰越え林道で全線に渡りフラットな路面も離合不能な断崖路が続くので一般車向きの林道ではない。道中の景色は素晴らしく峠では大パノラマが眼前に広がり、極上のロングダートは今も健在だ。

 

真駒内賀老林道1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

あの日も朝から快晴で、僕はこれから原生林の真只中を突く本格的な山岳林道に単独で挑もうとしていた。現在より荷物は若干軽いも何十連泊もして日本を縦断する装備一式を積載しているものだからそれなりに操作はし辛かった。市街地から長らく続いた舗装路もようやく終わりを告げ、いよいよ砂利道が目の前に現れた。そこで荷物の最終チェックをした。

真駒内賀老林道2/ORR

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今と違って道中停車する事はまずない。峰越えをして再び舗装路に抜けるまで一気だ。ガレていようがマディだろうが水没していようが崖崩れだろうがそんな事は関係ねー。タイヤ1本分の幅さえ確保できれば通行可だ。そして目的はただひとつ突破する事だ。またゲートや崖崩れや対向車との離合など停車が必須の場合を除いては未舗装区間内において停まっては

真駒内賀老林道3/ORR

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いけないというルールが己の中に存在していた。しかしその日真駒内林道において思いもよらぬ者に行く手を遮られ緊急停車させられるという事態に遭遇する。それは後にも先にも人生でたった一度しか経験のない緊急停車であった。その日真駒内林道ですれ違った車両は僅かに一台、それも砂利道に入ってすぐの頃だったからその後は峠まで車両とすれ違う事はなく

真駒内賀老林道4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

交通量は皆無に等しい平日の午前中であった。僕は初めての真駒内林道で本格的な山岳ダートの虜となり気分良く上昇していた。峠までは距離的にまだのようだが、かなり高度は上げている。僕は交通量が全くないのをいい事に急コーナーも後輪を滑らせながら速度を落とす事なく曲がった。そして先の見えない急カーブを曲がった次の瞬間、僕は思考するよりも一歩早く

真駒内賀老林道5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

本能的に危険を察知し前後ブレーキを力の限りかけた。流石ディスクブレーキは効きがいい。制動距離も思ったより短く済み目の前の物体と接触せずに済んだ。エンジン音が止まり、辺りは一瞬にして静まり返る。それとの距離は僅かに10mだ。道路の中央で仁王立ちとなったそいつは一歩も動かずこちらを睨みつけている。こちらも目を逸らす訳にはいかなかった。

真駒内賀老林道6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

目を逸らす事は負けを意味し更には死を意味する事を本能的に理解していたからだろう。キャツは両手を大きく広げたまま微動だにしない。こちらも恐怖という次元を超え完全に固まっている。先に動いたのはキャツだった。こちらに突進してくるのではなく凄いスピードで崖を上り、崖上の木に手を掛けた。が、失敗しズルズルと滑り落ちてくるではないか!

真駒内賀老林道7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

僕はそこで金縛りが解除しとっさにセルスターターを掛けアクセルをぶん回した。再び山中に爆音がこだました。キャツもリトライし二度目はうまく木の根を捉えた。そして森の中へと消えた。僕は脱力しその場にへたりこんだ。ガクガクブルブル。その後の事はよく覚えていない。ただ無我夢中で山を下りた。それが最も至近距離での遭遇となったヒグマ事件である。

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