ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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中津俣林道

★★★

 

中津俣林道の取扱説明書

東シナ海から隆起し内陸部へ約30kmに渡り南北を分断する壁を形成する紫尾山系。今後新造される全ての車道はトンネルによって紫尾障壁の呪縛から解放される事になるだろう。近年では九州新幹線の紫尾山トンネルもそれに従っている。一方で豊富な木材資源を抱えるこの一帯は古くから林業が盛んで、尾根伝いを縦走する紫尾林道が全通する以前から、屋根を目指し各地域より発した林道が下界からその足を一斉に延ばしていた。今では大概の林道が紫尾林道に接続し一大ネットワークを形成しているが、紫尾林道舗装化の余波を受けその多くは瞬く間に舗装化されてしまった。そのような状況下において中津俣林道は今日まで砂利道のまま生き延びてきたという点で希少性の高い未舗装林道である。

 

中津俣林道1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

横座峠の東郷側に眠る幻の道を追い求め西へ東へと紫尾林道を右往左往すれば、県道46号とのT字路より東へ向かった先で、町が管理する林道藤之元線との分岐に差し掛かった。そこは県道とのT字路より約3km、横座峠より4kmほど東方に位置する。東郷方面へと駆け下りる全線舗装済の藤之元林道が阿久根側の

中津俣林道2/ORR

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県道46号線と対を成していると考えるのはやや早計であるが、藤之元林道を少々下った先で更に枝分かれする未舗装林道には、それを疑るだけの価値があった。何故ならば一旦は尾根伝えを東へ進み東郷側への降下ポイントを見定め急降下を開始する藤之元林道が、県道46号線とは一定の距離を保ったまま下界と

中津俣林道3/ORR

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繋がるのに対し、中津俣林道は九十九俺に近い形状で県道46号線へと限りなく接近する形で拓かれているからである。結論から先に言ってしまえば藤川の集落でこの林道は横座トンネルを抜けてきた県道46号線と合流する。横座トンネルを中心とする現道から見れば、中津俣林道は蚊帳の外かも知れない。だがトンネル

中津俣林道4/ORR

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開通以前の横座峠が未通とされた時代に、県道に最も近い位置で東郷方面の壁面を伝い車両の往来を許していたのは他でもないこの中津俣林道なのである。当初疑った阿久根⇔県道46号⇔横座峠⇔県道345号⇔東郷という変則峰越えルートであったが、菅原道真を祀った藤川天神を経由しないというのはどうも腑に

中津俣林道5/ORR

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落ちない。対して紫尾の尾根から眼下の藤川天神目掛けて一目散に駆け下りる中津俣林道が、トンネルが開通するまで県道の代役を担っていたとしても何等不思議でない。但しその勾配はきつく且つ路面は砂利敷きで、規格は一般車両の通行を考慮しない林道そのもので全て車両に解放されていた訳ではない。だが

中津俣林道6/ORR

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現実に横座峠を跨ぎ藤川の集落に至る車道としてこれ以上の嵌り役が他に存在しないのも事実なのだ。他に全線舗装された藤之元林道が本俣を経由し町道本俣線に吸収され藤川へ至るルートが存在するが、その大きく迂回する線形から横座峠との関係は希薄である。しかし一般車両によって当たり障りなく横座の峰を越す

中津俣林道7/ORR

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選択肢のひとつとして、県道46号旧道⇔紫尾林道⇔藤之元林道⇔町道本俣線というルートも有りだろう。結局横座峠の古道もトンネル開通以前の旧道も特定には至らなかったが、紫尾山系横座峠付近の鞍を車両で跨げる事だけは突き止めた。中でも最短最速で結ぶ砂利道峰越えルートの中津俣林道はオススメである。

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