ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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黒原越(5)

★★★

 

黒原越の取扱説明書

一通り日本の主要林道を把握すれば、次に向かうは行き止ま林道か廃道、或いは点線道と相場は決まっている。点線道のほとんどは幅員1.5m未満の、登山道以上林道未満の怪しげな道なのだが、中には四輪の通行も可能な美味しい道に当たったりもする。複数の点線道が束になってかかっても、その牙城を崩す事は容易でない険阻な峰に、唯一車両による稜線越えが叶う路線がひっそりと存在する。それが僕の脳裏に焼き付いて離れない黒原越と呼ばれる峰越林道である。

 

黒原越D1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

僕が思い描いていた通りの形状をした黒原越であったが、一点だけ的を大きく外していた。それは峰を越えても尚車道規格の道が何処へと続いている事であった。下界では峠を越えられるのではないかという仮説の下に当路線へと足を踏み入れた訳だが、僕はいつしかこの道の現実と向き合ううちに、駄目かも知れないと諦めにも似た悲観論に支配され、全てが未知なるものに加え、初戦から

黒原越D2/ORR

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濃霧に包まれ視界不良という厳しい条件化での闘いを強いられた事で、多少戦意喪失気味であった事は否めず、峠より下りに転じた車道に対し疑念こそ抱けど、そこに全幅の信頼を託す事はできなかった。峠を越えてもそれが確実に下界へと続いている保障などどこにもない。ましてやここは地図にも未掲載若しくは点線道として扱われている吹けば飛ぶような脆弱な小径だ。だが僕は峠から

黒原越D3/ORR

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僅かながら下った地点で、希望に満ちた分岐点に出くわすのだ。それはさながらブル道同士の分岐点に見えなくもないショボイ三叉路であったが、そこに備え付けてあった林道標柱が、帰り支度を始めようかという僕の気持ちに待ったをかけた。林道菅野尾線、標柱は風雪に晒され傷んではいたものの、確かにそこにはそう記されていた。もしもこのまま下界へと通じているならば、麓からやって来た

黒原越D4/ORR

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者が、この分岐を直進してしまう可能性は大だ。だが黒原越は180度ターンする支線としか思えない道が本線であり、ここに林道標柱を立てたのはある意味正しいが、本来ここになければならないのは九州自然歩道の案内板のはずである。だが峠に至る直前の分岐にはどちらも林道標柱のみが存在し、それは明らかにハイカーに対してのものではなく、車両を意識した配慮である事が窺える。

黒原越D5/ORR

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それは徒歩による縦走より、車両による通過の確率の方が高い事を示唆しているのだろうか?僕の目には車両が遠慮せねばならないハイキングコースのように見えたのだが、実際には黒原越を境に親父山平林道と菅野尾林道という一本の路線でありながら、二つの名称を持つ列記とした林道であり、それによって車道以外(元車道や馬車道は車道に含む)には入り込まないという僕のポリシー

黒原越D6/ORR

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に反する行為には該当しない事が判明し、行動の一切をオブラートに包む必要もなくなった。杉木立の合間を滑るようにして駆け下りれば、次のT字路では林道菅の尾黒原越線と記載された標柱と九州自然歩道の案内板が仲良く並んでおり、目まぐるしく変わる林道名称と分岐に次ぐ分岐の嵐に、僕は大いに翻弄されたが、下り途中に見た五ヶ所高原の雄大な景色と、舗装された祖母山林道に

黒原越D7/ORR

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抜け出た事で、県境こそ越せなかったものの、尾平越から崩野峠へと至る大規模な峰越えロングダートが存在する事を突き止めた意義は大きく、今後この界隈の林道勢力図を大きく塗り替える事になるのは間違いない。点線道黒原越は確かに実在し、単車オンリーではあるが車両の通過を今も許す。無事に任務を遂行し、僕は帰路についた。

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