ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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小塚林道(小塚峠)

 

小塚林道(小塚峠)の取扱説明書

浜通りの双葉より中通りの郡山へ向かい、西へと足を伸ばす国道288号線都路街道。その阿武隈高地の集落間を繋ぐローカル国道に並走する形で、一本のロングダートが東西に延びている。双葉市街地を後にした国道は熊川沿いの玉の湯を経由し、そこに幾つか連なるトンネルにはおのおの旧道が存在し、今も昔がそのルートが国道であり続けた事を証明している。だが日隠山601mの麓を小塚川沿いにほぼ直線に近い形で遡上する小塚林道は、玉の湯経由には無い一種独特の古道臭を漂わせ、道路格闘家の鼻孔を刺激する。近隣の乙次郎、井出川といったメジャー林道の影に隠れほとんど目立たぬ存在の小塚林道であるが、これがなかなかどうして実に走り応えのあるミドルダートなんである。

 

小塚林道(小塚峠)1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

かつての街道など連想できぬほど高規格道路と化したニーパッパ(国道288号線)の傍らには、古くから使われているであろう骨組みにトタンをあしらっただけの質素なバス停が佇む。道路だけが先行して進化して行く中、時代に取り残された感が漂うこのような構造物に哀愁を感じるのは僕だけだろうか?国道より

小塚林道(小塚峠)2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

枝分かれする町道は数少ない乗降客の暮らす小さな集落を抜けると、左手の山へ割って入る砂利道との分岐に差し掛る。舗装済みの町道は毛戸ダムを経て県道36号小野富岡線の割山峠付近へと抜け出る。町道との分岐よりいきなり砂利道となる小塚林道は、山ひとつ挟んだ国道288号線と並走する形で一路

小塚林道(小塚峠)3/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

浜通りを目指す。松林の間を縫って林道は緩やかなカーブの連続する坂道を駆け上がる。幅員は3mを優に超え大型車でも楽勝の林間コースとなっている。標高が1000mもあれば胸を張れる阿武隈高地にあって、低山の隙間を縫う小塚林道もご他聞に漏れず軟派な線形であった。そこは普段なら砂利道を敬遠するような

小塚林道(小塚峠)4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

カローラにシビックにサニーといった大衆車がいつ対向からやってきてもおかしくはないほどの初心者コースなんである。坂道とは呼べないほど緩い勾配で上り詰めれば、切り通しのサミットを迎える。最終集落から目と鼻の先に位置する小塚峠は、標高が約500mと低い。周囲の山々と比しても同じクラスの小山が連なって

小塚林道(小塚峠)5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

いる為、小塚峠だけが特別な存在という訳ではない。ただそこに車道が通されたというだけで、普通車同士の離合さえ叶わぬ心許無い峠は、その存在自体が非常に地味だ。切り通しという峠らしい型は成しているものの、遺構の類はさっぱりで、見込んでいた都路街道の的は大きく外れてしまった。峠より先は街道臭という

小塚林道(小塚峠)6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ものが全く感じられず、小塚川沿いを延々と下るだけの面白みに欠ける道。昭和中期に爆発的にその手足を伸ばした時代の申し子らしい至極一般的な未舗装林道だが、街道と引き換えにあるものを疑った。それはこの界隈に多く見られる林鉄由来の用途変更路線ではないかという点だ。小塚林道の銘板には

小塚林道(小塚峠)7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

昭和34年度起工と刻まれているが、実はそれ以前から鉄路として使われていた可能性がある。今すぐレールを敷いても無理のない小塚林道の線形に鉄路を重ねてみるのも面白そうだ。姥神の集落を抜け再び国道288号線へと抜け出る。小塚林道は国道に飽きた方の迂回路としてオススメしたいショートダートである。

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