ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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荻の越路林道

★★★

 

荻の越林道の前説

タバッコ峠と鳥帽子掛峠にサンドイッチされている荻の越という峠がある。峠の手前にある尺丈山までは行き交う人々もいるのだが、峠を越える人はほとんどいない。荒廃の一途である超マイナー林道に属する荻の越路林道は、将来的に通り抜け出来なくなるという最悪のシナリオも充分に考えられる哀愁漂う淋すぃ林道である。

 

荻の越路林道1

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

荻の越路林道はこの舗装林道の十字路から始まる。左が仲河戸西河戸林道、右が森ノ入牛落林道、どちらも抜けているのだが全線舗装路につき全く眼中にはない。当然直進が尺丈山へ通じる今回のターゲット荻の越路林道である。なんて親切なんだろう。どこの誰かは知らないがコンクリ壁にはスプレーで尺丈山と記されていていた。これによりここまで来て道を

荻の越路林道2/ORR

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間違える人は恐らくいないだろう。案内標識が無いので土地勘のない者が尺丈山を目指していて、まず不安になるのが舗装林道同士の十字路で、何度も何度も何度も何度も尺丈山はどっちですか?との地元の方は尋ねられたのだろう。その結果があのスプレーだと思われる。何度も何度も何度も何度も尋ねられた人の居る集落を抜けると、やがて林道標識が現れる。

荻の越路林道3/ORR

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林道標識のある二股手前から路面は、我々が求めている本来あるべき姿の砂利道となる。そこからは水を得た魚の如く軽快に歩を進め、緩やかだが確実に高度を増し、やがて鞍部に手が届くのではないかと思った矢先、突如目の前に切り通しが現れた。削られた斜面の土質は妙に鮮やかであり素人が見ても、削り取ってからまだ日が浅いと分かる。これが荻の越なのだろうか?

荻の越路林道4/ORR

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答えを出すのにそれほど時間は掛からなかった。切り通しの手前に新し目の案内標識が設置されていて、切り通しは尺丈山へ続く道である事を指しており、本来目指すべき峠越えではない事を知る。ならば荻の越はどこにあるのだろう?今一度切り通しの分岐を見て欲しい。現在は本線のようになっている切り通しへの道から左へと延びる作業道のような頼りない道。

荻の越路林道5/ORR

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それこそが古くから使われていた峠越えの道、荻の越である事は左へと進む頼りない道が更に上を目指し、稜線との高低差を縮めようとしている事からも明らかであった。また分岐の線形からかつての本線は左であり、路面に撒かれた新しい砂利からも右の切り通しは尺丈山への新設林道であるとの判断でほぼ間違いないだろう。分岐から1分も走らない場所に荻の越があった。

荻の越路林道6/ORR

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ここを通る車両もほとんどいないのだろう。今にも消え失せそうな轍の道はほぼ稜線に取り付き、小さな切り通しにて峠越えを果たしていた。峠には判別不能な錆びきった標識が何とか重力に耐えているが、あと何年も持ち堪えられそうにない。半ば放置気味の荻の越を後にして下りへ転じると路面状況は更に酷さを増し、この道の将来が決して明るくない事を知った。

荻の越路林道7/ORR

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砂利道が途切れアスファルトに変わると同時に民家が現れるも、荻の越路林道は所詮生活林道などではなく、周辺の主要道が整備されてゆく中、わざわざ厳しい砂利道の峠を越えてゆく意味は無い。地域住民に必要とされなくなった道の維持管理も難しく、残念だが荻の越は舗装化され尺丈山への裏道となるか、このまま自然に還るかのどちらかでしかないような気がする。

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