ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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東隧道

★★★★

 

東隧道の取扱説明書

思いっきり市街地のど真ん中に位置する昭和初期の隧道で、ここまで細部のディテールに拘った隧道も珍しい。それもグレードの高い道ではなく単なる一般道だから恐れ入る。内壁は改修されてしまい見るべきものはないが、それを補って尚余りある坑門を持つ東隧道は本来最高ランクを与えてもおかしくはない逸品である。道路のグレードと内部改修さている事で多少割り引いたが、大変貴重な物件に変わりはない。バス路線にもなっていて交通量も多い上歩行者も多く、その狭さがネックとなっているが絶対に坑門は改修してはいけない重要なお宝物件である事にここを通行しているほとんどの人は気付いていない。

 

東隧道1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

神奈川県でも横浜は目立って西洋風の建築物が多く道路だけでなく建築物全般に目を向けるとその数は膨大で枚挙に暇がない。道路トンネルで言えば現代のコンクリトンネルはどれも画一的で区別がつきにくく平均点はいいものの個性が奪われてしまっていて魅力は感じない。僕にはどうしてもコンクリトンネルと現代の平均的な教育制度が重なって見えてしまう。

東隧道2/ORR

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昔の隧道はどれも皆個性がある。確かにルーツは幾つかの優れたデザインを持つ隧道に辿り着き、それらを真似て造られた隧道も多い。しかしそれは近隣にある有名物件を真似たもので、基本的には地域ごとにお国柄がよく出ていると思う。東北の隧道と九州の隧道では直接文化の交流がある訳ではないだろうから全く異なる形状をしていて当然である。

東隧道3/ORR

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使われている石やレンガの産地や形状、積み方などを含めるとひとつたりとして同じ物は存在しないのではないだろうか?例外として連続している隧道を同時に造った場合が挙げられるがそれとて細かい部分で差別化が図られていたりするものだ。しかし現代のトンネルは強度や設備、規模など構造上の平均点はいいがデザインは軽視され、結果無表情で魅力を

東隧道4/ORR

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全く感じないトンネルが全国展開で量産され続けてきた。これまでは不可能とされてきた場所にトンネルを突く、長さを競うなど技術的な面のみを優先してしまったが為に昭和中期以降のトンネルはデザイン的に冬の時代と呼んでいいかも知れない。そんなコンクリトンネルにもの申すと言わんばかりの個性溢れる東隧道の存在を知ったのはつい最近の事だ。

東隧道5/ORR

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現地で実物を拝むまでは食指が動かなかった隧道で、何故かと言えば坑門が派手過ぎて、しかもモダンな造りを再現したレプリカトンネルだと思っていたのだ。ところがだ、これがなんと昭和5年竣工の正真正銘のレンガえ〜んど石組み隧道ときたもんだからさあ大変、僕は一路横ハメへとすっ飛んだ。現場に到着すると遠目からはやっぱりレプリカっぽく見える。

東隧道6/ORR

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しかし近付いてみるとモノホンであった。笠石と帯石の間の縦ラインが他には見られない最大の特徴で、帯石の下側に細かい波上模様もアクセントになっていてオシャレ感を演出している。門柱も細いながらも神殿風の石積みで、リングアーチは最上部を細い石で着地点を太い石で強弱を持たせているのもなかなか見れない特徴で細かい分部に多くの気配りが見られ

東隧道7/ORR

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総合的にとても優れている坑門を持つ東隧道。勿論表層はレンガなのだがこれが紫色をしていた為当初レンガだとは思わなかった。後にこれが窯を酸欠状態に保ちながら通常よりも高い温度で煉瓦を焼き、含水率が低く強度が増す焼過煉瓦というものである事を知る。と、いつになく専門用語で武装したイヤラシイ解説になってしまったのも港町横ハメのせいかも知れない。

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