ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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双神隧道

★★★

 

双神隧道の取扱説明書

拡幅改良が続く県道37号線もいよいよ双神隧道と一部の区間を残すのみとなった。隧道前後の工事が全て完了した暁には双神隧道にも手がつけられるだろう。まだ数年は現役として活躍するだろうが、旧廃隧道となるのもそう遠くない未来である。

 

双神隧道

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東京、千葉、茨城、栃木、群馬、長野、山梨の16県と接する埼玉は8県と接する長野の次に顔が広い県と言えるが長野より面積が圧倒的に少ない割には他県との接触数が多く、ドライブやツーリング面アクセス面だけ考えれば埼玉は日本一便利な県なのかも知れない。関東平野の一部である為平野部が大部分を占め隧道とは縁遠いようなイメージがあり、

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どこまでも続く田畑は佐賀とダブって見えるが、県西に目を向ければ雁坂峠や三国峠など全国区の峠が存在し本格的な山岳地帯も有しているが、近年トンネルを突くようになるも昔の峠のほとんどは峰越えで、隧道とは無縁に近い県であるという認識は正しいと思う。地図を眺めていても報告書に起こせるような物件はなかなか見つからないのが現実だ。

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ただひとつだけ思い当たる物件があった。今ほど隧道に拘っていない時期に何度か通っていて、その時の印象が狭くて古風な造りであったというおぼろげな記憶だけしか残っていないが、とにかく現地へ行ってみようと思い立ったら吉日、さっそく僕は現地へ向かった。主要県道にしてかなり狭い道程だったと記憶している。しかし様子が少し違っていた。

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現場はダンプが激しく往来し、拡幅工事の真っ最中であった。断続的に2車線と1.5車線を繰り返す状況に微かに残る記憶との照合は完全なエラーである。よって初めてのような新鮮な感覚であった。稜線が近付きいよいよ山腹目掛けて大きなコーナーを描いた先に双神隧道はあった。もう何年も昔に注意深く見ていなかった訳でもない双神隧道は

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出発前に想像した姿とはちょっと違っていたが、明らかに年代モノで瞬間的に思い出されたのは岩手の鳥ヶ沢隧道であった。期待などしていなかっただけにお宝隧道の発見にわざわざ山奥までやってきた甲斐があたってもんだ。坑門はコンクリなのだがシャープではなく波があり、質感は機械的なものを一切感じない職人技のアナログ感全快で

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色褪せ方もいい感じだ。装飾はトラ塗りの制限バーのみで至ってシンプルな所もいい。内部も計算されたような滑らかなコンクリではなくテボチャーの凹凸を限りなく滑らかにした上にコンクリ噴き付けという波のある質感でこれまたいい感じである。照明が設置されているのは双神隧道を挟んだ両側に集落がありここを頻繁に行き来する歩行者がいるからだろう。

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こちら側は山肌を豪快に開削し、そのツケで後年崩落を起こしたのだろう、法面の補強がかなり上部まで成されている。本来は反対側と同じ掘割の両側は乱れ石を積み上げた石垣であったはずだ。現在我々が見ている双神隧道はズバリ昭和初期のものと見たが、初代はテボッチャーであった可能性はおおいに考えられる。県下ではなかなかの好物件であった。

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