ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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伊勢神昭和隧道

★★★

 

伊勢神昭和隧道の取扱説明書

ご存知東の横綱伊勢神隧道の登場です!えっ?こっちじゃない?しかし現道も充分文化財級ですよ。

 

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遠目からのパッと見は昭和中期に大量生産されたコンクリ隧道のようだ。1971年まで有料トンネルであった証拠として、坑門前にはブース跡の膨らみが残る。

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引き込みの堀割壁面は石垣で固められており、昭和中期になっても尚建築資材の主役として石が使われていた証であるが、これはこれで貴重な土木遺産と言える。

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隧道そのものはとても美しい立派な造りである。昭和30年代のコンクリ全盛時代にありながら、一般隧道とは一線を画した凝った装飾を身に纏い、質実剛健な意匠のポータル。

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内部は照明設備もあり、大型車同士の離合にも十分対応している。将来の交通事情を見越した設計で、当時の最高技術を用いて建造された事は明らか。

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上から笠石、扁額、リングアーチと基本的な装飾が施され、造形美を意識した最終型とも言える貴重な昭和産である。アーチ環の最上部には迫石が宛がわれポータル全体が石組み状を演出し、重厚さを前面に押し出している点も見逃せない。

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ローカル国道の山奥でありながらこのような立派な隧道を築いたのも信州と中京圏を結ぶ主要国道の補佐的な役割を担う重要路線という認識があったのかも知れない。高速網が充実一途の現在では考えられないが、当時はこの路線に懸ける意気込みは相当なものだったのだろう。

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竣工から半世紀を経た今でも主役の座を譲らぬ威風堂々とした造りは健在で、日々何事も無かったかのように車両は往来しているが、伊勢神隧道が近代土木遺産レベルの重要物件である事に誰も気付いていない。

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