ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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段嶺隧道

 

段嶺隧道の取扱説明書

元国道のトンネルだけあってその断面は大きく、真隣にある新段嶺トンネルとは素人目に規格はほとんど変わらないように見える。手の届きそうな低い稜線直下のどてっ腹に開けられた二つの大きな穴。目立った封鎖措置も取られておらず、段嶺隧道は現在も進入可能な状態で、子は現役の国道トンネルとして機能し、親は駐車場として第二の余生を送っている。何とも微笑ましい親子トンネルは道端で今日も過ぎ行く車両を眺めている。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

豊川を渡す町道の橋梁から段嶺の親子トンネルを捉えているが、残念ながらORRが推奨する地図では、信号機のマークによって潰されており、地図からその存在を拾い上げる事は出来ない。現場に到着するまで段嶺隧道の事は頭の片隅にも無く、当初は通過する予定であったが、現場に近づくにつれ見知らぬ旧隧道の映像だけが脳裏に浮かび上がってきた。

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名称などは知らないし、それがいったいどこに存在するのかも曖昧な中で、ひとつだけ言えるのは、脳裏の浮かび上がった謎の隧道が確実に近づいているという事。どこだ?その昔砂利道だけを狂ったように追い求め、この地も幾度となく徘徊した事で、地元車両よろしく僕も稲目トンネルを潜って市街地へ抜け出るのが最も快適である事を経験上知っている。

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今回もそうだった。わざわざ段嶺トンネルを潜って国道を正確にトレースするよりも、稲目トンネルに突っ込んだ方が格段にスムースなのだ。信号機のあるT字路でわざわざ右に進路を取って山塊に穴を開け、それが遥か昔からの約束事のように豊川に沿って南下する国道。無駄とも思えるその道程を尻目に県道は直進し、長大トンネルにて市街地へとまっしぐらにロス無く下って行くのだ。

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右折車両は少なくその7割が直進車であった。1枚目の画像の右手からやって来た僕も迷う事なく直進をチョイスし、信号が青に変わると段嶺トンネルを横目に県道を下り始める。はずであった。豊川に架かる橋梁と段嶺トンネルとの変則十字路がどうにも気になり、橋梁の先つまり段嶺トンネルの真隣の山肌に目をやると、そこにはポッカリと口を開ける先代の姿があった。これだぁ〜!

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脳裏に浮かんだ旧隧道の坑門とは寸分の狂いもなく見事に照合したのである。何の取柄も無い至って平凡などこでも見掛ける一般的なコンクリトンネルのそれであるが、それが一体全体どこにあるのかが今の今まで不明であり、その名称さえも判らない。更に当地に足を踏み入れた瞬間何故か浮かんで来た映像、それが段嶺隧道のものかさえも判らず仕舞いである中で、バラバラだったパズルが今ひとつとなった事で、モヤモヤ感は一気に吹き飛んだ。

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かつて林道探索に明け暮れていた頃何度も目にしていた段嶺隧道。その場所も名称も判らぬまま今日に至ったが、これでやっと胸の痞えが下りた。旧国道だけあってその断面は大きく、大型車同士の離合さえ可能だが、前後の取り付け区間が狭く厳しい事、また迫り来る絶壁からの落石という危険因子も重なって、新トンネルの着工に踏み切ったのだろう。

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車止めとガードレールによって通り抜けは叶わぬが、段嶺隧道とその旧道区間は今でも駐車場として利用され、この日も数台の営業車が段嶺隧道坑門前を陣取り仮眠をとっていた。今でも坑門付近に町道のヘキサが立っているが、国道からの降格後もしばらくは町道として機能していた証なのかも知れない。かつての国道と県道と町道の賑やかだった十字路も変則十字路となり、段嶺隧道は静かな眠りに就く。

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