ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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婆娑羅隧道

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婆娑羅隧道の取扱説明書

静岡県には天城山、観魚洞、宇津ノ谷明治隧道とお宝隧道は数あれど、ここもどうしてどうして。婆娑羅隧道は静岡県内でもトップクラスのお宝隧道である。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ここ2桁県道に婆娑羅トンネルが完成したのは随分前の事であるが、伊豆半島を横断するこの県道は古くから使われており、旧隧道が存在するのではないかと、かねてから狙いを定めていた。ツーリングやドライブで通過した時の微かな記憶では旧隧道らしきものはなかったように思う。婆娑羅トンネルの手前付近で早速怪しい旧道らしき分岐を発見する。

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広大な敷地を有する個人宅の裏庭を抜けるその道は倒木や落石、路面は泥田であり、とてもバイクが通過できるような状態ではなかった。この先に果たして隧道などあるのだろうか?深い切り通しだけが、かつて車道であった事を物語っている。数々の障害を乗り越えた先に何やら石組みのような物が見えた。

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婆娑羅隧道である。隧道までは直線に近いが、坑門手前で左45度に曲がっていたので、かなり近づいてから婆娑羅隧道に気付いた。これは凄い。全面石組みで両側も丁寧な石垣で組んであり、排水設備もしっかり完備していたようだ。天城山隧道程の巨費を投じられてはいないだろうが、それなりの出来栄えでお宝隧道に違いはない。

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封鎖後は全く人目に触れる事なく今日に至ったので、内外共に損傷は全く見られない。日陰で苔むした自然な色合いが非常に味わい深く、それでいて扁額が肉眼で解読可能な所もいい。それに何と言っても封鎖の仕方に好感が持てる。内部の様子も確認が可能であり、坑門への鉄柵設置も必要最小限に抑えられている。

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雰囲気はほぼ往年のままの状態を堪能する事が出来、何と言ってもこのような封鎖は復元が容易である。内部は未舗装路だったのか砂利で埋め尽くされていた。後年化粧されたのか趣のある石組みの坑門とは対照的にコンクリ巻きとなっていた。完全1車線で距離は長く照明設備もなかったようだ。ここまで進入経路が荒廃すると信じられないだろうが路線バスも通っていたはずだ。

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反対側は現在でも工事車両置き場として利用されているのでアクセスは楽で坑門手前までヘナリワンを持って来れる程である。こちらの坑門も当然鉄柵による封鎖だが残念ながら扁額の部分が崩壊してしまったのだろう。コンクリの味気ない補修が成されている。

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婆娑羅トンネルが完成するまでは伊豆半島東西の生命線として大切に使われてきたのだろう。先人達の苦労の結晶を知ってか知らずか必要最小限での封鎖措置は流石静岡県と言える。そしていつの日か婆娑羅隧道の復活を切に望む。

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