ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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東宮隧道

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東宮隧道の取扱説明書

かつては海岸線か峰越えで繋いでいた海沿いのローカル国道にも隧道が突かれていた。それは今だったら切り通しにするのではないかと思われるほど、低くて短い小山であるのだが、そこには大型車も通すまともな隧道が突かれていた。現在は歩道として第二の人生を歩む東宮隧道は坑門こそ平凡であるが、内壁の激しい凹凸はまるで洞窟内にいるような錯覚を起こさせ、これがかつての国道隧道だったかと思うと非常に感慨深いものがある。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

近年改良が著しい海沿いのローカル国道。当路線最長の紀伊長島トンネルを筆頭に、トンネルを連発して整備した結果、旧道の残骸が沿道に多数発生した。その大部分は地図上から難なく拾う事が出来るが、一部ではその存在が余りにも小さ過ぎて、市販の地図には記載されていない旧道もある。勿論国土地理院醗酵の1/25000地形図や古地図などを積極的に利用すれば、ここ東宮隧道も難なく発見できたに違いない。

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しかし僕は専門家ではなく一介のツーリングライダーである。景色の良さそうな道をチョイスするとか、簡単なルーティングこそすれど、物件を繋いで走るというスタイルではない。従ってほとんどの物件は行き当たりばったりで、偶然の産物である事が多い。この日もちょうど昼飯に有り付こうと思い、低速でひなびた漁村内を流していると道路脇でおばちゃん連中が井戸端会議に花を咲かせていた。

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僕はそこへ割って入り、弁当などを置いてある商店はないかと尋ねた。何故商店かと言えば、どう見てもコンビニや大型のスーパーなどありそうもない場所であったからだ。事実のこの小さな漁村に辿り着くまでひとつもお目当てに該当する物件などなかったのだ。おばちゃんの達からは意外な答えが返ってきた。そこのトンネル抜けた先におっきなスーパーがあるわよ、最近出来たばかりでお弁当もいろんな種類が置いてあるわよ。

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キター!こんな片田舎に今更オープンする大きなスーパーと言えばマックスバリューに違いない。僕が割って入った事で会議に区切りがついたようで、おばちゃん達はそれぞれの方角へ散っていった。その内の1人はこれからトンネルを抜けて紹介してくれたスーパーへ向かうという。しかしそのおばちゃんは国道のトンネルには向かわず、脇の小さな道を上り始めたのである。

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その先には歩行者トンネルがあるのか、そう思った。しかし何とその奥から軽自動車が下りてきたのだ。そこは後付の歩行者専用トンネルではない。早速エンジンを掛けおばちゃんの後を追い駆ける。するとそこには明らかに車道に対応する大きさの隧道がぽっかりと口を開けているではあ〜りませんか。昼飯どころではなくなり、早速臨戦態勢に入る。

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普通車同士の離合が可能な幅員で坑門前に至るこの道は、舗装が継ぎ接ぎだらけで、いかにも古くから使われているような状態に見える。そしてコンクリの隧道は内部に段差のある立派な歩道が設けられていて、照明も完備されている。確かに歩行者を意識した構造になっているが、どうみてもそれは後付けにしか見えない。

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今では辛うじて普通車1台を通しているが、かつては内部に歩道との段差も仕切りも存在せず、普通車同士の内部離合を可能とする国道のトンネルであったに違いない。内壁はコンクリ噴き付けなるも荒々しいテボッチャーで、ここを大型車も通っていたのだろう。歩道を完備しない現トンネルを補完する東宮隧道は今後も長きに渡り第二の人生を歩み続ける事だろう。

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