ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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千早洞

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千早洞の取扱説明書

千早洞、大阪に大物隧道なんか存在しない、その定説を根底から覆す隧道に遂に出会ってしまった。トンネル、隧道と名の付くものは数あれど、わ〜たしの記憶が確かならば洞と付されたものにやまだかつて出会った事がない。故に千早洞は僕の記憶に深く刻み込まれる事となった。

 

千早洞[ORRの道路調査報告書]

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

府道に未舗装路が残っていた。もうそれだけでも私的にはビッグニュースであるのに更にその先に古い隧道が存在するという。砂利道を一気に駆け上がるのがもったいなく僕はじっくりと凹凸のある路面を味わいながら時間をかけてねちっこく進んだ。所謂オヤジテクというやつだ。未舗装路のまま残された旧府道に期待は膨らみ、それは期待を裏切るどころか遥かに想像を上回るスケールで僕の目の前に現れた。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

掘割は近代的なコンクリ壁にて補修されている。それも一種類ではなく何種類かに分かれている事から、年を隔てて数回に渡り補強工事を受けてきたのだろう。一番手前のものはこの旧道が新道に切り替わる直前に補修されたのではないかと思える程新しいものである。そしてターゲットに近付く。千早洞、扁額には確かにそう書かれている。隧道ではない、洞窟の洞だ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

但しテボッチャーでもないし装飾は他の隧道の追随を許さない実に独創的な造りをしていて大阪を代表する隧道というよりは日本代表に相応しい風格を持った千早洞。耳慣れないその呼び方とは裏腹に徹底的に計算され尽くした坑門は見る者を圧倒する。そう簡単には壊れそうもない程の重厚な造りで千早洞をあえて例えるならそれは重戦車である。笠石、帯石、門柱、扁額、リングアーチ、表層はレンガと装飾にぬかりはない。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

一切の妥協を許さない職人技の集大成を千早洞に見た。鉄柵によって封印されてしまっているのが残念でならないが、おかげでいたずら防止にはなっていると思われ、長い目で見れば結果オーライとなるのかも知れない。但し看板はもう少し小さくても良かったと思う。

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内部を覗き込むと内壁はレンガで路面はダートというこれ以上ない組み合わせで竣工当時のままの状態を保つ内部はまんま交通博物館であり是非とも将来的には史跡として一般開放してもらいたい。反対側は倒木に遮られ全体像が拝めないが両坑口共に全く同じ造りをしている。坑門全体の大きさに対する門柱とリングアーチの幅はこれまで見てきたどの物件をも凌駕する激太仕様で門柱はただ石を重ねただけでなく凝った配列をしている。

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リングアーチもただ石を並べただけでなく家紋のような形をしており、何等かの意図を持って造られたに違いないのだろうが、それがどういった意味を持つのかは残念ながら理解できない。しかしリングアーチが単なる石の積み重ねではなく模様を配した物件を見るのは恐らく初めてではないだろうか。

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果たして単なる県道にここまでの凝った装飾が必要だったのだろうか?それともこの路線はその昔大きな意味を持った重大な路線だったとでも言うのだろうか?一級国道の、否それ以上の坑門を持つ千早洞は単なる隧道の粋を超え芸術作品と言っても過言ではなく、誰が何と言おうと絶対に後世に残さねばならない重要な物件である。

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