ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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笠木隧道

 

笠木隧道の取扱説明書

山深い山中に拍子抜けしてしまう程立派な旧隧道がある。それが笠木隧道だ。切り通された側壁から隧道内部に至るその全てがコンクリで覆われ、現在の笠木隧道は現代のトンネルとほぼ同じ姿で改修に次ぐ改修でこのようになったのか、それとも竣工当時から最先端工法を取り入れられこのような姿のまま現代に至ったのかは分からない。笠木隧道は期待外れに終わったが現役当時の道路遺構や前後の道路状況には見るべきものがあり、それなりの収穫は得る事ができた。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

吉野杉に覆われたこの辺一帯を形成する酷道群も近年急速のその姿を変えつつある。新伯母峰トンネルとループ橋による劇的な変貌を遂げ、世界遺産認定に合わせて無料開放され高野龍神スカイラインが、一般国道化そしてここにも新笠木、新河合の両長大トンネルの完成により峠を意識する事はなくなった。1本の長大隧道で突かず、くの字で分割されたその姿は西栗子東栗子の栗子ハイウェイくりそつだ。

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旧道化した現在も普通に通行可能な訳だが、新笠木トンネルの竣工が19849月でかれこれ旧道化して10年が経過していてもおにぎりは健在だ。もしかしたらいまだにこのルートは国道指定されたままなのかも知れない。というのも街中を通過している国道に市街地を避けるバイパスが完成した場合両道とも国道指定されたままというのは珍しい事ではありませんよね。

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また旧道と新道が両者とも国道指定されたまま供用されている代表例としては名阪国道が挙げられますが、もしかしたらこの道も旧道化後、格下げされずに国道指定されたままなのかも知れない。少なくとも僕の所持している使い物にならない古い地図では旧道となっているにも関わらず赤く塗られたままだ。

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そう考えるとおにぎりの存在も当然であり何等驚くには値しないのだが、シチュエーションとしては県道や町道に降格後も残されたおにぎりとの遭遇というのが望ましい。だが撤去されるのが普通らしく全国的にもそのような物件に出会う事は稀である。だからこそおにぎりの発見、または県道から町道なのどに降格した道でのヘキサの発見には感慨深いものがあるのだ。

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と、ここまで笠木隧道の事には一切触れていないのだが、はっきり言ってつまらない。笠木隧道そのものはコメントのしようがない程普通過ぎ、また特徴も見出せない。隧道自体は現在の交通事情にも充分耐え得るものであるだろうし、耐用年数にしても少しでも危険性があれば封鎖など何らかの措置が取られるであろう中で平然と開放している状態では緊迫感もなく、また嫌な雰囲気もない。

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もっとも昭和後期のトンネル群は皆似たり寄ったりでORRでは本来取材対象と成り得ない物件なので笠木隧道に食指は動かないが、その前後の行程から推察する現役当時の交通事情には興味を示さざるを得なかった。というのも立派な笠木隧道に対しその前後が余りにもショボかったからに他ならない。

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何だこの極細道は!何で山中にあれだけ立派な隧道が造れるのに道中離合不能区間が存在するのだろうか?バスとバイクの離合も危うい程の狭い区間が続くこれこそがかつての峠越えの実態であり、この界隈に存在する国道の本当の姿である。かつて対向車が来るたびに絶叫が木霊した峠道も今は静寂に包まれている。

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