ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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卒塔婆隧道

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卒塔婆隧道の取扱説明書

正直なんでもない県道の峠にこれほどのお宝隧道が眠っているとは夢にも思わなんだ。卒塔婆隧道は想像を遥かに超えるスケールで僕の目の前に現れた。見る人が見れば何故このような山中に人知れずこんなお宝物件が注目もされずに眠っているのか不思議に思うはずだが、立派な隧道とこのガタボロ道でも主要県道という格付けからして、もすかして重要な街道筋という可能性が見えてくる。但しいつものようにそれ以上の追究はあえてしない。

 

卒塔婆隧道

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稜線まではまだ遠い。しかし旧道は遂にそれ以上の上昇を諦め、平坦な路面と変わった。その先にぽっかりと開く穴が卒塔婆峠に突かれた卒塔婆隧道が見えた。坑門直前から右へ派生している林道があるが、隧道以前の峰越えルートなのかどうかは定かでない。しかし反対側に取り次いでいる道はなく、おそらく単なる枝道と思われるが、調査時間に限りがあり

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未確定のまま卒塔婆峠を後にせざるを得なかったのは非常に惜しまれる。チラっと見えた時の印象はコンクリ風で、一瞬がっかりさせられたが接近してみるとそれが大きな間違いである事を知る。なんとそこに鎮座していたのは事もあろうかオール石組みで築かれた眩いばかりの超優良物件であったのだ!突如山中に出現するその神殿のような姿をした卒塔婆隧道に

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息を呑んだ。傾斜のきつい斜面に築かれている事から石垣が導く距離が非常に短い。しかしその丁寧な積み上げにぬかりはなく打込ブギで両サイドをしっかりと固めている。坑門だが惚れ惚れするような立派な造りで、オール石組みはレンガ以上に数が少なく卒塔婆隧道の希少価値は充分だ。笠石、帯石、門柱、扁額、リングアーチと装飾はフルラインナップの

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豪華版である。鉄道隧道だと馬蹄型を採用されていたであろう断面も路面に対しほぼ垂直に落ちていて、これが道路と鉄道の隧道を分ける一番の違いではないだろうか。正確に切り出した石を積み上げ出来た継ぎ目の模様が実に美しくレンガとはまた一味違った様相で今すぐにもアミダくじが出来そうな勢いだ。内部へと足を踏み入れるとほんの僅かな距離ではあるが

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コンクリで覆われているようだ。これは後年になって内壁を滑らかに施そうとしたようだが、それはすぐに途切れ中間部は凹凸が多少和らげられるも完全なテボッチャーとなっていて、しかもその断面積はかなりのもので隧道内部は巨大なホールと化している。立派な装飾が施された坑門とは余りにも対照的な内部構造とのギャップがこれまた堪らない。

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しかも内部路面はダートきている。それも竣工時からそうなのか後から剥れてしまったのかは定かでないが現状はとても素晴らしい状態を保っていて、もし後年アスファルトが剥れたとしたら結果オーライと言える。しかしこれだけの巨大な断面を有しながらも高さ制限標識が設置されているのも不思議だが、その設置場所も何でその位置なの?と突っ込まずには

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いられない配置だ。卒塔婆隧道は道中のガタボロ道には似合わない大物物件であるが何故このような山中にこんな立派な装飾の隧道が必要だったのだろうか?当初林道の格上げ路線かと思われたが実は重要な街道筋なのではないだろうか。それは立派過ぎる坑門と主要県道に指定されている事からもそう考える方が自然だ。今回も謎を残したまま僕は卒塔婆峠を後にした。

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