ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>隧道電撃ネットワーク>南近畿>和歌山>毛見隧道

毛見隧道

★★★★★

 

毛見隧道の取扱説明書

やまだかつてこれほど美しいディテールの隧道を見た事があるだろうか?己にそう問いかけるも明確な回答は得られなかった。内部はライナーが巻かれ内壁を拝めない事、かつて2車線だった隧道内部は、段差のある歩道が設置され、一方通行道路となっている事を差し引いても、封鎖される事なく現役の道路として今日でも供用している事は、毛見隧道に一定の価値を見出している事が分かる。ところがだ、毛見隧道は和歌山県下に留まらず国を挙げて保存に取り組まねばならないほど究極の隧道である事を、まだ多くの方が気付いてはいないのだ。毛見隧道を幼少の頃から当たり前のように見て育った者は、まさかそれが日本の至宝である事など知る由もないだろう。井出商店がそうであったように、多くの比較対象物と照合して初めてその偉大さを人は理解するのだから。

 

毛見隧道[ORRの道路調査報告書]

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

やっちまった鵬雲洞からいったいどれ位の月日が流れたのだろう。それが路面電車のものとは知らず、無邪気な子供のように毛見隧道の初代を発見!と、ひとり歓喜に包まれ、これが明治隧道か〜と勝手に思い込んじゃうところが机上調査無しの徹底した現場主義の凄いところ。しかも先走って、聞き込みもしなった点は我ながら、アッパレとしか言い様がない。地元の方数名から、

image003.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

あれ道路じゃないっす!と通報が入り、そこでやっと気付いたというお粗末さに、一時期は自殺も考え、東尋坊へ向かおうとしたが、そこまでの旅費がない事に気付き、自決は断念したという経緯がある。2車線ずつの上下線に分けられた新旧毛見トンネルを抜け、最初の交差点に何やら大きく回り込むような形の怪しい2車線路を発見してしまう。臭い、鵬雲洞に次ぐ第四の隧道か?

image005.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

出た〜!出ます出します出させます!

ジャンジャンバリバリ

ジャンジャンバリバリトンネルマン

仕事しろ 仕事しろ 女房子供が泣いてるぜ

ジャンジャンバリバリ・・・

だ・か・ら、これが仕事なんだってば〜

ちょっと見てよ、このディテール!確かに当路線はお宝隧道製造工場ではあるけれど、

image007.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

これは関西の秘密兵器どころの話では済まない。上から段差のある笠石、その下にはデンティル(歯状紋)帯石との間に挟まれる扁額とリングアーチとここまでは在り来たりで、問題はここからだ。リングアーチの中央には一際大きな石が配されており、それを要石と呼ぶが、要石が帯石を支えるかの如く間に石をひとつ噛まし、アーチ環と帯石を一体化させている。更に神殿を連想させる

image009.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

凝った造りの門柱を、上から降ろすも、路上まで降ろさずに帯石で止めているというスタイルも奇抜である。そして毛見隧道の目玉となるのが、石垣の傾斜に合わせて階段状に配された石の存在だ。両脇に階段状の石を配した物件は他に記憶がなく、初見の衝撃力ときたら、並大抵のものではない。階段状の石を配置する事で、通常はぼやけるはずの両脇が引き締まり、弥が上にも

image011.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

全体像をはっきりと捉える事になる。そして表層全体は夥しい数の細かい石が積み上げられ、それも業と斑にしているのだろうか、やや薄めの水色を基調とし、赤レンガのような強烈な個性は打ち出さず、さりげなく薄めの装飾石を前面に出している点に、デザイナーの優れたセンスが見え隠れしている。全体の配色を大人しくさせておきながら、洋の東西を問わない斬新なスタイルは

image013.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

毛見隧道の真骨頂であり、この世界に足を踏み入れた者の全てを虜にするだろう。既存の常識に囚われないデザイナーの腕も然る事ながら、それを現実の物とした施工業者の技術も賞賛に値する。毛見隧道に携わった全ての人の血と汗と涙の結晶が、ここに究極の逸品を産み出した訳だ。最後になりましたが念のため確認しておきます。これってまさか路面電車じゃないよね?

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ