ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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富隧道(富峠)

★★

 

富隧道(富峠)の取扱説明書

高度経済成長期の急速なモータリゼーションの発達により、この路線にも隧道が突かれた。それから50余年が経過し老巧化を理由に難所富峠に新トンネルが開通したのはつい最近の事だ。どこでも見かける一般的なコンクリ隧道も、独特のオーラを放つ極狭の富隧道。今日まで隧道1本で何とかやりくりしてきたが、富峠にもやっと遅い春が訪れた訳だ。そして行政もそこに花を添えるように粋な計らいを用意していた。僕は岡山県知事のおでこをこいつぅ!とっ突っつきたく県庁に出向いたが、受付のお姉ちゃんによって丁寧に門前払いを食らったのは言うまでもない。

 

富隧道

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プフッ!なんて分かり易い峠なんざんしょ。初めて見る富峠を前にし、そのあっけらかんとした態度に思わず笑みがこぼれた。もの凄い角度のきつい斜面を強引に削り出した断崖路でこの県道は富峠へ至る。意外と交通量の多い当路線に金魚の糞と化した隊列に挟まれ、えっせらこっせらと峠まで上ってくると最後の最後まで峠も隧道も前方に確認する事はできず、峠手前の

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最終カーブを曲がった先でそれは唐突に現れ、そこで初めて峠に達していた事を知る。緩やかにV曲線を描く稜線、その直下を突く富隧道、真隣には出来たてホヤホヤとも思える富トンネル、右へ延びるのが旧旧道か。峠を遍歴をこうも簡単に見て取れる富峠は実物大の標本と呼ぶに相応しい。ただしひとつ残念だったのは旧旧道の発見に至らなかった事だ。隧道真上の一番窪んだ

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地点が富峠には間違いないのだが、そこへ至る道筋がどこにも見つける事ができないのだ。丹念な調査をした訳ではないので憶測でしかないが、富トンネル掘削に伴い旧旧道はごっそりと持って行かれたのではないかと。だとしたら隧道真上に車道が残っているはずだが、そこへ取り付ける術もなく、時間もそれを許してはくれなかった。歩行者専用通路として一命をとりとめた

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富隧道は今日どこにでも見られるコンクリ隧道である。坑門は笠石に小さな扁額のみであとはのっぺらぼうの至ってシンプルな造りだ。内部は追い越し禁止のセンターラインが敷かれるも大型車と普通車の離合も厳しい狭さで、勿論歩行者やバーイセコの存在など一切考慮されちゃぁいない。そんなお富さんに新トンネルの早期開通は急務だったはず。富トンネルの開通は

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200312月だからデビューして間もないのだが、何故かまたもや現在では当たり前となっている歩行者専用通路が省かれているのだ。予算の都合なのか?いや、どうやらそうではないようだ。峠手前は真新しい白線が縦横無尽に引かれ、それは峠付近がつい最近まで工事現場の雑音で賑やかだった事を窺わせる。丁寧に横断歩道までこしらえ、それは明らかに富隧道を意識した

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造りで隧道内部へと導かれている。そして今でも点灯したままのナトリウムランプ。恐らくこういう事だ。富隧道は新トンネル計画段階から歩行者専用通路という第二の人生が約束されていた。だからこそ新トンネルに歩行者用通路を設ける必要がなかったのだ。長く続いた使い捨て時代も、遂に終焉を迎えたか。僕は岡山の山中でリサイクル時代の幕開けを見た。正直人っ子一人

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いない富峠にこのような物件が息を潜めていようとは夢にも思わなかった。こちら側から見ても峠も隧道も直前まで至らないと確認する事はできない。そして残念な事に旧旧道の取り付けをこちら側でも発見する事は出来なかった。これは仮説だが、お富さんに初めてエンジン音を轟かせたのは頂ではなく隧道であった。さりげなく他力本願モードに切り替え僕は富峠を後にした。

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