ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>隧道電撃ネットワーク>四国>愛媛>松尾隧道

松尾隧道

★★

 

松尾隧道の取扱説明書

近年開通した市街地のバイパスを通り抜け、ほとんど直線に近い無理のない線形に身を任せれば、やがて2kmにも及ぶ長大トンネルが見えてくる。それが現道の松尾トンネルだ。一切の障害物が取り除かれ、ドライバーへの負担も軽減、全車高速巡航にて流れるように上下する現行ルートの上に、静かに余生を過ごす隧道がある。かつて主要国道の一端を担う重要なポストに就いた松尾隧道はどのような老後を過ごしているのだろうか?山中にひっそりと佇む古豪の今を訪ねてみた。

 

松尾隧道[ORRの道路調査報告書]

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

高校野球の常連で、その名を全国に轟かせるこの地に、僕は残念ながら全くと言っていいほど縁もゆかりも無く、該当物件が高知なのか愛媛なのかも判然とせぬほど、この界隈には疎い。高知と接しているとは言え、ここは愛媛県なんだと強く意識して通るのは今回が初めてかも知れない。1日の歩行距離は50kmがいいとこのお遍路さんや150kmも進めば上出来のチャリダーと違って、

image003

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

人力を駆使しないライダーやドライバーというのは、どうしても峠というのを認識し難い。意識していなければ通り過ぎてしまうのが常で、そこが緩やかな峠やトンネルであれば、十中八九フルスロットルで通過となる。エンジンという文明の利器を手に入れた我々現代人は、より遠くへ、より早く、より快適に、を追求し過ぎた結果、目の前に転がる小さな事象を見逃す事となる。それが新たなる

image005

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

発見、新たなる世界観を広げ、人生をより豊かにしてくれるものかも知れないのに。旧道には目もくれず、忙しく現道を行き来する現代人。何をそんなに逝き急ぐ?かくいう僕もエンジン駆動を頼りにする一員であるが、実は徒歩やチャリも悪くないし、その方が達成感もあるだろうし、細かな遺構も見逃し難いという利点もある。だが一度味わったが最後、今更デフォルトは二足歩行だと言われても

image007

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

エンジン駆動車無しでは生きて行けないのが、現代人の偽らざる実情である。グリップを捻っただけで、アクセルを踏み込んだあけで、あっという間に異境の地へ辿り着けるというのは大いなる魅力だし、この誘惑には正直敵わない。ここ松尾隧道だってチャリや徒歩であれば、調査に来るだけでそれなりの時間と体力を要し、ヒーヒー言いながら峠に辿り着いた結果、そこが単なるコンクリ隧道

image009

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

だったら泣くに泣けない。地図上では白線となり、町道に格下げされたと判別できるも、線の太さは明らかに二車線を示す極太でなぞられ、松尾隧道が内部で大型車同士の離合を許す、現代風のコンクリトンネルである事は容易に想像された。確かにコンクリ隧道は鎮座していたが、現代トンネルよりは一回り小さいサイズで、主要国道としては充分な仕事をしていたとは言い難いインチキ

image016

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

二車線である事は明白。新道切り替えと共に国交省は直ちに無かった事とすべく、即行で町道に落としたに違いない。町道としては必要にして充分な機能を備える松尾隧道は、単なるコンクリ隧道として片付けるのは早計で、アーチの外周を四角形にて突き出させるという独特の外観を持ち、それなりのオリジナル性を打ち出している。隧道の装飾としては特筆に値するレベルではないが

image018

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

レンガや石組みが持て囃される昨今、いずれコンクリ隧道が注目を浴びる時期が近い将来必ず来るだろう。今、水面下では静かに坑門を持つ者と持たざる者の二極分化が進んでいる。将来的に装飾の有無に関わらず、坑門さえあれば単なるコンクリ隧道であっても、昭和の遺構として一定の評価が得られる事となる。コンクリがレンガや石組みと肩を並べる日は、そう遠くないのである。

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ