ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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浅海井隧道

 

浅海井隧道の取扱説明書

オープンカットされた現道に隠れるようにそっと佇む小さな隧道、それがこの国道に残された道路遺構の浅海井隧道だ。封鎖される事なく現在でも地元民に利用されていて、旧国道のテボッチャーは今でも健在だ。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

旧道探訪を趣味とする方ならばしばしば道路の線形が思いも寄らぬ姿へと変貌し、かつての状態がどのようであったのかさえ想像がつかない程変わり果てた姿になっている物件に出会う機会も決して少ないと思われるが、この物件もまさにそれだ。ご覧頂いて分かるように現在の国道は2車線で弧を描くように大きく海沿いに張り出す形をしている。

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画面右は写っていないが防波堤にテトラポッドが並ぶ典型的な海岸ルートが続き、小さな漁村の近くにこの物件はある。海に迫り出した岩を刳り貫いた隧道で今我々が見ている2車線路の部分は、かつて海でありこの国道には海が荒れた日は通行止めになるのではないかと思える程、海沿いスレスレを走る区間が今でも残っていて、ここも防波堤など無く、

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波飛沫をモロに被るような場所であったと思われる。坑門はコンクリの割としっかりした造りで滑らかな円形は本来好みではないのだが、コンクリ特有の無機質さは感じず何故か愛着さえ湧いてくる始末。幾つか理由はある。扁額と異常な小ささ、設置されたままの高さ制限標識と塩害による微妙にコンクリの質感の違いなのだろうか。

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内部はコンクリ噴き付けではあるがテボッチャーな点も好感が持てる。この狭さでは普通車同士の離合がやっとで、路線バスが走るこの国道ではネックとなっていたのだろう。それがまさか隧道を突かずに海側を埋め立て迫り出た岩をカットして通してしまうとは恐れ入る。現代工法を持ってすれば地形などいとも簡単に操れるという事か。

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こちらの坑門は新しく造り直したようだ。それが現道より前なのか、それとも後なのか、はたまた現道の開通に合わせて同時に成されたものなのかは分からない。恐らく大崩落したのだろう、これ以上ない程巨大なコンクリの塊と化し、かなり上部に渡り法面補強されている。もしかしてそれが原因でこの国道は海側の迂回ルートが選定されたのかも知れない。

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こちらの坑門には扁額が設置されていて、ここで初めてこの隧道の名称が浅海井隧道である事を知る。この浅海井隧道は手持ちの地図からは既に削除されていてたまたま通りかかった時に発見したもので、もしこちら側も昔のままの坑門であったなら名称不明であったかも知れない。これまでの隧道に変わり新しくトンネルを突かずにオープンカットに

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する物件はこれまでも幾つか見てきたので驚くには値しないが、数的には少なく珍しいと言える。浅海井隧道を抜けると民家が軒を連ねる小さな漁村に入る。今でこそ埋め立て地に立派な建物があるが、ガードレールをご覧頂いて分かるようにほぼ錆びきっていて、かつてはそこが海と陸の境であったはずだ。昔はここから釣り糸を垂れていたのかも知れない。

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