ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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岳切隧道

 

岳切隧道の取扱説明書

岳切隧道は現役の県道に存在する隧道で全く異なる二つの顔を持つ隧道である。現代版の大人しいコンクリのトンネルと呼ぶに相応しい門と迫力のあるテボッチャーというギャップが堪らない。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

耶馬溪はご存知のように非常に切り立った断崖絶壁で構成された特殊な地形で道路を通すには当然難工事が予想され、それは線形にもよく現れていると思う。よくぞここに道を通したものだと感心する道がなんと多い事か。この県道も隧道名称が読んで字の如く岳を切り裂くような断崖絶壁を開削したルートで、隧道前後で景色は一変する。

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片や田園が広がるのどかな風景で緩やかな地形であるのに対し片や断崖絶壁の渓谷を開削した難ルートでそれは岳切隧道の坑門にもよく表れている。これまで見てきた数多くの事例から坑門は両側とも同じ造りであるのがデフォルトであり、相反する二つの坑門を持つ隧道は珍しいと言える。勿論細部のディテールは若干の相違は見られるものの

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基本的には同一の形状である事が多い。しかし岳切隧道は明らかに異なる二つの顔を持つ隧道でその形状はまるで違う。両坑口共にテボッチャーであるならばそれは形状が違って当然だろう。凹凸のある断面という点では同じだが、穴を突くだけの荒削りな状態ではひとつとして同じものなど出来やしないのだ。あくまでその後の装飾によって

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同じ形を成せるのであって、坑口付近の地質や形状によってまずはオリジナルな坑門が出現し、その後装飾や化粧をする事によって両坑口を統一するのが一般的だ。岳切隧道も元はそのように両坑口共にテボッチャーであったはず。現在反対口は完全に改修され一般的なコンクリのトンネルに生まれ変わっている。なだらかな地形にあった坑門で

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見慣れた現代の一般的なトンネルの形をしている。それに対し断崖側は明らかに竣工当時の状態を維持し、それも坑門は観音彫りに近い形状をしており、圧倒的な迫力でその存在感を知らしめている。コンクリが拭き付けられている以外は一切の装飾を受けておらず当然扁額もない。ただ坑門脇には記念碑が建立されており、この険しい地形に道路を通した事が

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どれだけ地元に恩恵をもたらしたのかが垣間見られる。内部も凹凸のあるコンクリ噴き付けテボッチャーだが有難い事に照明が設置されている。最も現役の県道であるから当たり前と言われればそれまでだが。また内部は普通車同士の離合を可能として実は巨大なテボッチャーである事が分かる。反対側は特にコメントの必要がない普通過ぎる程の坑門だ。

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当然こちら側には扁額が設置されている。こちら側から進入すると最初はなめらかだった内壁も突如凹凸に変化し、隧道を抜け振り向いた先には異様な姿の坑門という事でなかなかインパクトがある。僕は全くその通りのシチュエーションで初めて岳切隧道を抜け、以来何度も通過しているが最初のインパクトは今でも昨日の事のように鮮明に覚えている。

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