ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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納屋隧道

★★★

 

納屋隧道の取扱説明書

国東半島を周回するこの国道からこれまでも幾つも物件を紹介してきた。この国道ひとつとっても膨大な数の隧道が存在し、それもほとんどが今もって通行可能という我々のような旧道探索者にとっては願ってもないおいしい状態で保存されている国東半島隧道群。これまで紹介してきた同路線上にある物件とは一線を画しているのが、ここ納屋隧道である。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

国東半島を外周する海沿いのドライブルートである当路線は閑散とした田舎風景の中に時折見せる周防灘、伊予灘から本州、四国を望み夏は海水浴客で賑わうもシーズンオフともなれば交通量がまばらな過疎地域に過ぎない。この国道はさして重要な路線でないにもかかわらず、熱心に隧道が掘削されていて、今でこそオープンカットでもよかろうと

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思える物件も丁寧に掘り抜いている。ここ納屋隧道もご覧の通り隧道上部は旧道も現道も真平らな状態で素人的な意見としては切り通しを選択すべき物件だったのではないかと思うのだが、そこには当時の時代背景、地主との交渉や工費、技術や地層など様々な諸条件が複雑に絡み合い結果として隧道の掘削に至ったのだろう。そんな物件が多く見受けられる

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同路線で納屋隧道は別格と言える。現道に主導権を握られ旧道は逃げ隠れるようにして海際へと膨らんでいる。緩やかなカーブを曲がると現トンネルと平行して納屋隧道が姿を現す。この隧道のいったい何がベッカム別格なのか?それは坑門が神殿風の造りになっているからだ。これまで見てきた物件と見比べても特筆に値する訳でもないのだが、当路線においては

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他にここまで凝った造りの坑門を持つ隧道が存在しないのだ。納屋隧道を除く全ての隧道がこのような形状をしておらず何故納屋隧道だけがここまで立派な造り込みが成されたのかは貞子ではない。但しこれが石組みであれば相当な評価をすべき物件なのだが残念ながらコンクリ仕様でリングアーチでさえ切れ込みを入れただけのバッタもんである。

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それでもこれだけ立派な装飾を目の当たりにしては当時納屋隧道の工事に携わった方々の強い思い入れが感じられる。立派な装飾はあくまで坑門のみであり、ひとたび内部へ潜入すると、そこにあるのは凹凸の目立つ不気味なテボッチャーである。一度は葺き付けたコンクリの内壁は所々で剥がれ落ち両脇に堆積していて普通車同士の内部離合が可能な

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幅員を有しているにもかかわらず坑内の幅員は1車線のような印象を受ける。但し毎度の事ながら大型車が通る際には内部離合は不可能であり、納屋隧道が時代の流れに乗れるはずもなく旧道化してゆくのは必然であった。神殿風の坑門に対して反対側はどうした事か一切の装飾が施されておらず、その姿はあまりにも対照的だ。片面に工費を費やし過ぎたのか

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はたまたリャンメン共に神殿風だった坑門の片面のみが後年崩壊して現在のような姿になったのかは謎である。仲良く並んだ親子二世代トンネル納屋隧道は国東半島隧道群のトップバッターとして背番号@番が付されている。こちら側から見るといかに切り通しが困難であるかが分かり、どれだけ私の見解がテケトーかがお分り頂けるものと思う。

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