ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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竹田津隧道

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竹田津隧道の取扱説明書

竹田津隧道は昭和中期竣工の一般的な無表情コンクリ隧道で、坑門の形状は非常に落ち着いたタイプである。異型が混在する当地では珍しく正統派と言えるのではないか。坑門手前で追い越し禁止のセンターラインが突如途切れる所謂インチキ2車線で、昭和レトロを語る上では外せない必須アイテムを標準装備し、今でも路線バスが旧道を走行するという大変貴重な区間にある。内壁は凹凸の少ないテボッチャーで、今でも照明が点灯し、普通車同士の離合を可能とする狭い2車線路を、今日も路線バスはひた走る。

 

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隧道の魅力に気付いてしまった者にとって、お宝隧道の宝庫というよりメッカと呼ぶに相応しい県下にあって、国東半島というのは初心者からベテランまで老若男女が一日を通して存分に堪能できる貴重な路線である。現トンネルには番号が振られ、それに従って旧道跡を辿れば、大概の旧隧道は地図など無くとも十中八九は行き当たる。たった一日にして実りの秋を迎える当路線は、忙しい現代人にとって

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費用対効果の点でも優れている。中には路線バスが今もって旧道を走行している区間があり、バス停が備えてある事だけでも感動ものだが、実際に現場で路線バスが通過して行くのを目の当たりにすれば、感極まり思わず手を合わせて拝んでしまうほどだ。地域住民にとってもバスの運ちゃんにとっても、それは日常的な有り触れた光景。だが新道が開通した暁には時間短縮、費用縮小、負担軽減などの

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観点から、ほとんどがルート変更を余儀なくされる中で、かたくなに旧道走行に徹しようとするバス会社の姿勢は見習うべき点がある。この旧道上にはほとんど人家が存在しない。なのに今でもバスは旧道上を走っている。何故か?両手に収まるほどの僅かな戸数が、今もって旧道沿いに点在し営みを続けているからだ。山の斜面を利用したそれほど広くない田畑を有する民家のほとんどが恐らく兼業農家だろう。

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国の減反政策も相まって八割の農家が専業では食って行けない厳しいご時勢にここも例外ではない。今ではそのほとんどが年金暮らしとなり、自分達の食う分だけは確保し、僅かな年金と合わせて質素な生活を営んでいる。目立つ休耕田とトラクターを巧みに操る高齢者の姿から、そんな一面が垣間見える。沿道にあるほとんどの民家が軽トラや自家用車を持つ中で、極一部の免許を持たぬ者と運転に不安を

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覚えた高齢者が、僅かに路線バスを利用する。そんな構図が見えてくる。行き来するバスの乗車率が一割にも満たない中で、もしかしたら数日間に渡り一度も乗降がないなんて事も珍しくない当区間にある唯一立派な建物、それが峠の廃ドライブインだ。時代が昭和から平成へと移り変わるのと時同じくして、この小さなトンネルは大型車同士の離合も楽にこなす大断面を有する新竹田津トンネルへとバトンを

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渡した。だが全面譲渡はせずに、路線バスだけは辛うじてこの区間に留まらせた。そうして封鎖を免れた上に今でも竹田津隧道を潜る路線バスの姿を拝めるのは、沿道に住む住民の方々のお陰で、それは奇跡と言っても過言ではない。新竹田津トンネルと竹田津隧道を隔てる距離は直線にして1km以上、現道との起点から終点まで約3kmにも及ぶ大迂回をさせられ、ダラダラ坂と合わせても歩行者専用道路

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とするのは、常識を大きく逸脱していて現実的ではない。だが新竹田津トンネルの歩道は、お世辞にも安全とは言い難い緊急避難用レベルで、チャリでの通過は命懸けとなる。ならば最近流行りの歩行者専用トンネルをわざわざ突かねばならぬのか?それも距離が長過ぎて現実的ではない。何か良い解決方法はないものか?ある。たったひとつだけ。その為には眠れる獅子を呼び覚まさねばなるまいが。

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