ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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厚雲峠(2)

★★★

 

厚雲峠の取扱説明書

渡島と檜山を結ぶ峠として僕は初戦に姫侍峠をチョイスした。そこは幾度となく対戦し、酸いも甘いも熟知した峠であり、何等かの不可抗力や自らのミスで撃沈しない限り勝って当たり前の、云わば格下相手の前哨戦と言える。ところが今度の相手は全くの未知数で、事前情報も得てなければ、突っ込むのも初めて。ましてや現役時代さえ通った事のない、全てが初物尽くし。そんな初めてのお使いシリーズに相応しい厚雲峠の現状にORRのメスが入る。

 

厚雲峠2

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

だがここに隧道による峠越えを果たす路線があるという。その主要2桁路線は現在山蕗トンネルという最新工法によって築かれた機能優先の無機質なコンクリトンネルに生まれ変わっている。そして深い山中にはまだ見ぬ旧隧道が眠っているという。今回のターゲットは勿論その古い隧道である。

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山深い山中には不釣合いなほど真新しい快走路に導かれると、突如何の装飾も施されていない、巨大な土管の上半分と表現して差し支えない、シンプルの度を超越した近代的なトンネルが姿を現す。山肌に弾丸が貫通したところにパテで補修しただけのような山蕗トンネルがぽっかりと口を開けている。大型車両同士の離合を許し、近代的な設備を備え、冬期の通行をも可能とした山蕗トンネル。

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だがそれはあまりにも機能を優先し過ぎたため、坑門はもはや坑門ではなくなっていた。土管をスパッと切って地中に上半分を埋めたようなその形状に、かつての隧道群が魅せた個性や芸術性などは一切考慮されず、そこには恐ろしいまでに機能に特化した事が、如実に表されていた。その昔は一大事業であった隧道掘削。いや、今でも地域の一大事業である事には変わりないが、かつてはその想いが坑門の装飾に表されていた。

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だが高度経済成長と供にどこもかしこもコンクリ垂れ流しの無機質なものへと変わっていった。だた一部の行政は何を勘違いしたのかコンクリトンネルに派手な装飾を施し、無理矢理個性を出そうと試みて失敗、その姿は目も当てられない。それよりは幾分ましな山蕗トンネルであるが、トンネルある所に旧道ありの鉄則通り、早速トンネル手前には誰がどう見ても旧道と一目で分かる未舗装路が延びている。

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路面状況はフラットなダートだ。これは楽勝か?と思ったのも束の間の幸せに過ぎなかった。早くも旧道は山蕗トンネル坑口付近で草ぼうぼうとなり、行く手を遮った。あちゃぁ〜、やちゃったよ。チェーンゲートが設置されているので、当然通行量は皆無に等しい。鍵を開けて入る専用車両とて、目の前の状況からして入ってきている様子はない。

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完全に放棄された道、所謂廃道である。しばらくは車両が通ったのか軽自動車1台分ほど草はしっかり割れていたが、それも長くは続かなかった。モーゼの十戒で割られた薮は予告なく急激に閉じ始め、あたかもそこで道はプッツリと途切れているかのようであった。そこで脱落しても仕方ないと思える激薮なのだが、意外な事にそれを抜けると薮の勢いは衰え再び路面がはっきりとその姿を現したのだ。

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しかもその好環境はかなり長く続いた。路面にはダブルトラックが確認できない事から、やはり近年車両が入ってきた痕跡はない。ただ刈り払いされたかの如し自動車1台分の幅員はきっちり確保されていて、このまま続く事を僕は祈った。

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