ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>廃道電撃ネットワーク>北海道(道南)>渡島支庁>厚雲峠

厚雲峠(4)

★★★

 

厚雲峠の取扱説明書

渡島と檜山を結ぶ峠として僕は初戦に姫侍峠をチョイスした。そこは幾度となく対戦し、酸いも甘いも熟知した峠であり、何等かの不可抗力や自らのミスで撃沈しない限り勝って当たり前の、云わば格下相手の前哨戦と言える。ところが今度の相手は全くの未知数で、事前情報も得てなければ、突っ込むのも初めて。ましてや現役時代さえ通った事のない、全てが初物尽くし。そんな初めてのお使いシリーズに相応しい厚雲峠の現状にORRのメスが入る。

 

厚雲峠4

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

それにしても落差が激しい。現役時代と同等の状態を保つ立派な橋梁と、その前後の手が付けられそうにないほどジャンゴーと化した道路状況。どこの廃道でも見られるパターンで、すっかり見慣れた光景ではあるのだが、何度お目に掛かっても、気が進むものではない。かと言って絶対に突っ込みたくないという拒絶反応を示す訳でもない。

image003

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

やはり僕を動かすもの、それはその先にある、まだ見ぬ何かをこの目で確かめたいという想いだろう。薮は慣れているとは言え、正直楽しいものではない。どちらかと言えば苦痛と言っていい。ただその場では苦痛でも、そこで撮影したものを持ち帰って改めて見ると、やはり絵的にはおいしい。これはお笑い芸人が罰ゲームなどでいたぶられればいたぶられる程番組的にもおいしいというのに似ている。

image005

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

自ら進んでこんな罰ゲームみたいな事を全国展開でやりたがるような人は稀だろう。例えスポンサーが付いて金が際限なく降って来るような状態であろうとも、好むも好まざるも廃道へ突撃せねばならんのだ。もしORRが番組の一環であるならば、それは完全な仕事として成立する。廃道1本の突撃に対しギャラが支払われるだろう。

image007

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現地まではロケバスに揺られ高速をひとっ走り、或いは新幹線や飛行機などの公共交通機関を利用して現地へ移動、現地で用意されている単車に跨り取材が始る。そこには多くのスタッフがいて、何かあった場合すぐに対処できるようADがスタンバッている。勿論血を見るような場面は放送できないからそこそこの事しか出来ない。また使用許可も降り辛いから、林道に毛が生えた程度の物件しか取材できない。

image009

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

だがORRは全くの個人だ。現地まで下道を自走、食事は自炊、寝るのはテント、雨の日もテント、取材はたった一人。撮影編集執筆全て一人。そこには降って来るようなお金もない。少ない資財と一部の協力者からの支援、それとほんの僅かな広告などの手数料のみ。先の見えぬ不安だらけの人生。だがそこにはリアリティがある。道路に全てを投げ打った男のありのままの姿が映し出される。

image011

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

そこには救助の手も差し伸べられなければ、降って湧いてくるような金銭も用意されていない。また小さな事ではあるが道交法違反や私有地への不法侵入等も日常茶飯事で、そこにあるリスクは決して小さなものではない。マクロ単位で見れば将来の保障は何もない。しかし誰かがやらねば失われた道、即ちロストロードを再び手にする事は出来ないのだ。

image013

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

民間に出来る事は民間に、地方に出来る事は地方に。だけんども国も地方も民間も危な過ぎて出来ないんだよね。命懸かってるから。やはり個人レベルでしか成し得ないだろう。それもしがらみのない自由度が高いピンだ。道路界のピン芸人?劇団へなりは、薮の先に何かを見た!

厚雲隧道1へ進む

厚雲峠3へ戻る

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ