ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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厚雲峠(8)

★★★

 

厚雲峠の取扱説明書

渡島と檜山を結ぶ峠として僕は初戦に姫侍峠をチョイスした。そこは幾度となく対戦し、酸いも甘いも熟知した峠であり、何等かの不可抗力や自らのミスで撃沈しない限り勝って当たり前の、云わば格下相手の前哨戦と言える。ところが今度の相手は全くの未知数で、事前情報も得てなければ、突っ込むのも初めて。ましてや現役時代さえ通った事のない、全てが初物尽くし。そんな初めてのお使いシリーズに相応しい厚雲峠の現状にORRのメスが入る。

 

厚雲峠8

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

登山店などで売られているホワイトガソリン用のアルミボトルをヘナリワンは標準装備しているのだ。伊達に荷物を満載している訳ではない。通常走行においては全く必要がないように思えるのだが、北の大地においてはこいつのお陰で何度か助かった事がある。ガス欠は気を付けていても迷路状態の林道に迷い込んだ場合にも有効だ。

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それに自分の為だけではなく、ガス欠で困っている人を助ける事もできるのだ。何を隠そうこの僕が実際にオロロン海道でガス欠になり、360度見渡しても原野が広がるだけの僻地で、まだ携帯も普及していない時代だ、待てど暮らせど通る車もないような場所にて途方に暮れていると、そこへ1台の見るからに旅をしていそうな荷物満載の大型バイクが止まってくれたのだ。

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嬉しかったな〜。葉巻が似合うようなヒゲモジャの渋いおいちゃんだった。ガス欠?と聞かれ僕はハイと答えるとおいちゃんは無造作に荷物をばらし1本のボトルをホレと言って差し出した。当時の僕にはその意味が分からず、とりあえず水でも飲んで落ち着けや、という意味かと思ったのだ。それがまさかガソリンだとは想像も付かなかった。とにかく僕は助かった。500ccではあったが次の町まで走れたのだ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

おいちゃんにお礼の意味も込めて千円渡そうとしたら、おいちゃんはどうしても受け取らなかった。そして僕にこう言ったんだ。今度同じように困っている人を見掛けたら、君がその人を助けてあげてくれと。泣けたね。そしてその教えを守って僕はすぐにボトルを購入し持ち歩くようになった。今の所ガス欠で立ち往生している人に遭遇していないが僕はいつかどこかで誰かを助ける事になるかも知れない。

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その時僕はあのおいちゃんの事を思い出し、こう言うんだ。五千円でいいよ!ただえさえいい話が益々良くなってみんな涙している所に大変恐縮ではあるが、脱線した話を元に戻したいと思う。見てくれ、これだ、これが厚雲隧道を抜けた先に見たトンデモナイ道路遺構だ。現在当路線は主要2桁道道に指定されている。しかしここに設置されているのは紛れもない一般の3桁道道のヘキサだ。

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という事はだな、この路線は3桁道道時代に路線切り替えが行われたか、路線切り替えと供に主要道道へ格上げされたかのどちらかだ。いずれにしても厚雲峠には歴史的証拠が撤去される事なく今尚風雪に耐え、この旧道が現役最後まで未舗装路の3桁道道であった事を僕に訴えかけていたのだ。厚雲峠において最大の発見はこのヘキサであり、隧道ではない。

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シャッターの先に見たヘキサに僕は無性に車両を横付けしてやりたかった。もう二度と通る事ない車両をじっと待つヘキサに、まだ通る車両がいる事を伝えたかったのだ。捨てられたのではない、後世にこの道の何たるかを伝えるべく重要な任務を任されたのだと。ロストロードを手にした僕は厚雲峠に手を合わせた。

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