ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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坂下峠(神大滝林道)(8)

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坂下峠(神大滝林道)の取扱説明書

中京圏と関西圏の間に、どうしても越さねばならぬ難所がある。ある国道は隧道にて、またある道は鞍を直に跨ぎ、その難所を越して行く。国道から林道に至るまで様々な道が、二つの大都市圏を分断するその山脈に付けられた。東海道の難所として知られる鈴鹿峠を筆頭に、酷道の代名詞とも言える石博峠など話題に事欠かないこの山脈に、史上稀に見る極悪路線が付けられている。その路線名称を神大滝林道という。ここにORRのルーツがある。今明かされるへなり誕生夜話、今宵その全てを話そう。

 

坂下峠(神大滝林道)8-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ここに散っていった男達の証が眠っていた。視界に入る所々に細かな遺留品が転がっていた。時には無念の涙を流し、時には歓喜の雄叫びが轟き、時にはパンツが黄色くなり、中には茶色、最悪は赤く染まる者までいたという。しかしここに挑んだ男達が残した数々の偉業も、間もなく伝説と化す瞬間がやってくる。男達が日夜無い知恵を振り絞って土木技術の向上に努め、最後の

坂下峠(神大滝林道)8-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

最後まで自作パーツにて死守してきたこの道が今甦ろうとしているのだ。それも我々が思いもよらぬ形でだ。この道はある意味一度死んだ道である。書類上は行政の管理下にあったとしても、事実上お上の手を離れ、取り返しの付かぬほど荒廃の一途を辿っていたはず。十数年の歳月を経て訪れた当路線は、当初通行不能に陥っていると思われた。しかし蓋を開けてみれば、

坂下峠(神大滝林道)8-3/ORR

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そこには涙ぐましいまでの、素人の手による補修の跡が所々に見え隠れし、多くの土木達の手によって、今にも消えかけそうな道路生命の火が絶やされる事なく、今日まで脈々と受け継がれてきたのだ。そこには通行する事によって道は維持されるという暗黙のルールが存在した。大々的に告知などする必要はない。夜の蛍光灯下に昆虫が自然と集まるように、神の領域である

坂下峠(神大滝林道)8-4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

坂下峠にもその道のスペシャリスト達が自然と集まるものなのだ。男達の挑戦、それは坂下峠を現役の車道であり続けさせ、車道としての命の火を絶やさせんとする聖火リレーの歴史でもあった。だが僕は久しく訪れた現地にて絶句する事となる。というのも側溝までもが用意された本格的な舗装路が峠のすぐ手前まで延びていたからだ。それも三重、滋賀の両県からジワジワと

坂下峠(神大滝林道)8-5/ORR

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延びているのだ。その昔僕を奈落の底へ突き落とした悪魔の笑みはどこへやら、我が国におけるクラス最高水準を誇った廃道も、そこにかつての勢いはなかった。かつて僕が未舗装林道の初戦に選んだ坂下峠が、空荷のオフ車ならお遊び程度にしか映らないという現実を目の当たりにして、正直非常に寂しい気持ちになった。僕はどこかでもう一度あの時と同じ恐怖を味合わせて

坂下峠(神大滝林道)8-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

もらいたいと望んでいた。ここが僕の原点であり、十数年ぶりに帰って来た僕に「日本の道はどうだった?やっぱここが最高だろ?」と再び嘲笑って出迎えてくれる事を期待していたのだ。しかしそこに見たのは余りにも落ちぶれた峠道の姿であった。このまま行けば何か特別な事情が発生しない限り、数年内に坂下峠はアスファルトの下に埋没するだろう。現状で何の規制も

坂下峠(神大滝林道)8-7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

かけられていないという太っ腹な状況も伝説と化す日は近い。あらゆる意味で奇跡の峠と言える坂下峠に、工事中断という真の奇跡は起きるのだろうか?今はただそれを静かに見守るしかない。尚この峠に挑んだnoa氏のレポートも合わせて一読されるとより理解が深まると思います。

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