ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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坂下峠(神大滝林道)(7)

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坂下峠(神大滝林道)の取扱説明書

中京圏と関西圏の間に、どうしても越さねばならぬ難所がある。ある国道は隧道にて、またある道は鞍を直に跨ぎ、その難所を越して行く。国道から林道に至るまで様々な道が、二つの大都市圏を分断するその山脈に付けられた。東海道の難所として知られる鈴鹿峠を筆頭に、酷道の代名詞とも言える石博峠など話題に事欠かないこの山脈に、史上稀に見る極悪路線が付けられている。その路線名称を神大滝林道という。ここにORRのルーツがある。今明かされるへなり誕生夜話、今宵その全てを話そう。

 

坂下峠(神大滝林道)7-1/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

草木の生えない地肌剥き出しの坂下峠は保水能力を完全に失っており、地表に降り注いだ雨水を地下へ押しやる事が出来ない。ある程度の雨量までは処理が可能であったとしても、大粒の雨が短時間に集中して降った日には、この林道は川と化し濁流が発生する。実際にその瞬間を見た訳ではないので、全くの想像でしかないのだが、これまで雨天時に走行した数多くの

坂下峠(神大滝林道)7-2/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

林道で僕は林道が濁流と化す瞬間を何十箇所と見てきた。中には単車ごと押し流されるのではないかというスリリングな場面も決して少なくはない。それも保水能力に長けているであろう鬱蒼とした森でさえ自身の臨界点を越すと、突如荒れ狂った大河へと豹変してしまうのだ。よってこの植林さえも成されていないまま放置されているハゲ山に、短時間で記録的な雨量が発生した

坂下峠(神大滝林道)7-3/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

場合ここに濁流が発生する事は容易に想像が付く。そのエネルギーは神大滝林道の全てを破壊し尽くすほどで、本来あるべき路面はすっかり消失し、路盤さえもどこへやら、完全に濁流の成すがままに、林道上を右へ左へと蛇行を繰り返した激流は、そこにある全てのものを削り取って行くのだ。現在の路面はほとんどの箇所が通常の高さよりもかなり低い位置を走行する事となり、

坂下峠(神大滝林道)7-4/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

本来あるべき路面を時には真横に目線の位置で、また時には見上げるほどにまで抉られてしまっている箇所もある。また十数mという短い距離の間に、高低差1m以上ものアップダウンを数回繰り返すコースさながらのセクションも用意され、スタッフ一同皆様のお越しを心よりお待ち申し上げられておられるセクションも1箇所や2箇所ではないのだ。もうそれは林道の常識を大きく

坂下峠(神大滝林道)7-5/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

逸脱したひとつのアトラクションとして成立する。今回は廃道というカテゴリに格納した当路線であるが、実はこの路線に残された時間はそう長くはないのだ。残念ながらその現実を受け止めざるを得ない物証を今回の調査で目の当たりにしてしまった。神大滝林道は列記とした自動車道として開通したはず。やがて何等かの事情によってこの道は放棄された。一見荒廃の一途を

坂下峠(神大滝林道)7-6/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

辿っているかのように見えたこの林道は、実は多くの有志達の手によって完全なる廃道化を免れた。時にはバーイセコが、時には二輪が、時には四輪までもが命を張ってこの峠を越して行ったのだ。ひとりひとりはこの道を守ろうなんて意識などはさらさら無かったかも知れない。それより身の安全を確保する事に必死であり、この道がその後どうなろうが知ったこちゃないというのが

坂下峠(神大滝林道)7-7/ORR

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

正直な所だろう。しかし結果的にこの道はどこの誰かも知らない数多くの命知らずの男達の通行によって、道の尊厳が守られていたのだ。男達は車両を通す事によってここが道である証を立証し続けたのだ。道が道である為に男達は最後の最後まで車両を通す事に命を懸けた。

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