ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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八井谷峠(3)

★★

 

八井谷峠の前説

スキー場のメッカでもある近畿でも有数のリゾート地にそれは実在した。現在は但馬トンネルで一気に抜け、そこにかつて自動車も通行していたであろう旧道の峠道が存在していたなどとは微塵も感じさせない。しかしそこには確かに旧道である峠道が存在していた!そんな伝説の峠道にレジェンドハンターへなりが単独で挑む!

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

背丈近くもある密度の濃い藪に阻まれ、足元の様子は全く確認できない。また視界は完全に遮られ、どこへ進めばよいのやらさっぱり分からず、前進も後退もままならない状況である。またどこで道が寸断されているか分からず、強引に突き進む事もできない。ここは臆病な程慎重に慎重を期し、数センチ単位でジリジリと前進を試みる。もし路肩から脱輪しようものなら即アウトだ。

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JAFを呼んでも現場まで入っては来られないし、周囲の草という草を全て刈り払わねば状況が把握できない事から、単独での引き上げもほぼ不可能であろう。このような状態がいつまで続くかも分からず、最悪の事態だけは何とか避けたい。ただその一念で、僕は藪を漕ぎ続けた。するとある地点で急激に視界が開け、一瞬気が緩んだ。だがそこが最大の難関でもあったのだ。

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草がほとんどない理由、それは川が横切っていたのだ。ヘナリワンの背後が緑の絨毯のように映るが、実はそれが木製の短橋梁で、橋上に堆積した土に植物が根付き、あたかも除草された路面のように映るが、その実態はタイヤ3本分程の幅しかない朽ちた木橋で、しかも残された木もほとんどが腐りかけているという有様であった。道中で一番逝く確率が高いのはこの恐らくこの腐橋だ。

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川底と道路の比高は2mほどで、もしも滑落した場合、単独での引き上げはほぼ不可能であろう。廃道探索時はこうした落とし穴に充分な注意が必要だ。徒歩やチャリなら何とでもなるだろうが、100kg超もある単車を落とした場合、そう簡単に引き上げられるものではない。特に単独の場合は細心の注意が必要である。木橋の腐り具合を入念にチェックし、僕は足早に橋上を駆け抜けた。

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腐橋の先は回復傾向にあり、深藪から浅藪へ、そして再び四輪の轍跡を確認したところで、僕は無事に脱出した事を確信した。峠の養父側は九十九状の完全なる廃道であり、足元がおぼつかない上いくつもの折り重なる倒木が行く手を遮り、鋸で切断しないと前進不可能な程酷い状況にある。この車両を全く寄せ付けない状況は、年を追う毎に酷くなっていくものと思われる。

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錆付いたガードレールに誘導され、僕はどうにかこうにか下界へと不時着した。アスファルトが懐かしく、また普段は騒音でしかないトラックの爆音も、今は心地良い音色で鼓膜に届く。それほどに八井谷峠が脅威であったという事だ。市販の地図からは完全に抹消されて久しいが、ヘナリワンが通り抜けた事で、一応車道の峠が存在していた事は証明できた。但しここを国道9号線の旧道とするには些かの自信もない。

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