ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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八井谷峠(2)

★★

 

八井谷峠の取扱説明書

スキー場のメッカでもある近畿でも有数のリゾート地にそれは実在した。現在は但馬トンネルで一気に抜け、そこにかつて自動車も通行していたであろう旧道の峠道が存在していたなどとは微塵も感じさせない。しかしそこには確かに旧道である峠道が存在していた!そんな伝説の峠道にレジェンドハンターへなりが単独で挑む!

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

峠で昼食を済ませ、あとは一路下るのみだ。轍跡は若干薄くなりつつもまだ続いており、間違いなく軽トラなどが入ってきているようである。林業関係者やハンターが入山するのだろうか?轍の状態から頻繁に入ってくるようではなさそうだが、四輪の轍跡は確実に続くいている。このままあっさり抜けられるかも知れない。僕は油断した。

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きつい勾配の上りとは対象的に、峠から先は非常に緩やかな下りとなっていて、人口樹林の杉林を両脇に従え、僕はゆっくりと下り始めた。轍跡も進めば進む程鮮明となり、安心材料は増える一方である。早めに取材できて良かった。まだ八井谷峠は生きている。現役で利用されているのだ。と、すっかり浮かれポンチキになっていた僕の視界に、突如信じられない光景が飛び込んできた。

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あれ?道間違えた?眼鏡をかけ改めて確認してみたが、そこにあるのはただの森。鬱蒼と生い茂る超濃密な藪は、どう見ても行き止まりの様相を呈していた。いやー、いい天気だねー!なんてハイカーを装ってみるが、いくら現実逃避しても何ら状況は変わらない。で、いくら欲しいんだねチミは?と問いても森は金銭には応じてくれない。そう、遂に八井谷峠が本性を現したのだ。

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気付けば轍跡はすっかり消え去り、いつの間にか安心材料と呼べるものは全て吹き飛んでいた。みんなどこへいってしまったんだ!という泣きの声も空しく、突然孤独感に苛まれる僕は、素直に引き返そうかどうしようか本気で迷っていた。崩れかかった斜面も単なる序章に過ぎず、本番はまだ始まってもいなかった事が、この直後に判明する。

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パッと見は行き止まりと思った猛烈な藪の先に、まだ道は続いていた。右カーブを曲がると、そこは完全なる廃道であった。峠を境に片側だけが廃されるという定番の型があるが、ここも御多聞に漏れずそのパターンであった。今にも笹藪から銃口をこちらに向けた小野田さんが出てきてもおかしくない荒廃ぶりだ。下手すると旧日本兵がどこかに隠れているのではないか、そう思えるほどに酷い藪道であった。

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これじゃまるでガダルカナルじゃないか。こんな事もあろうかと、僕は平和の象徴であるチョコレートをしっかりと常備し、事に挑んでいた。いつ何時ギブミーチョコレートと銃を突きつけられてもおかしくない状況下で、平和的解決を目指すならば飴やチョコは欠かせない。だが平和的解決も糞もなく、ジャングルの度合いは増す一方で、匍匐前進すらままならない状況となってきた。

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すっかり平和ボケした日本に、まさかまさかの大激戦区である。頭上ではゼロ戦とB29の空中ドンパチがいつ始まってもおかしくない戦々恐々とした状況にあった。どこが道でどこが道でないのかが皆目見当がつかず、最早敵も味方も分からぬ泥沼の様相を呈していた。道幅は狭くもう後戻りもできない。さあどうする?

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