ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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旗返峠(5)

★★★★

 

旗返峠の取扱説明書

新道が完成し旧道と化した区間や、用を終えた林道が廃道化したなどの理由により、地図上から抹消されるという現象は、然程珍しい事ではない。だが新道やバイパスのような迂回路が完成した訳でもないのに、人知れず静かに消されて行く道が、極稀に見られるのも事実だ。その象徴的な物件としては戸谷隧道が挙げられる。そしてここ大分にもそんな不可解な物件がある。それが県道706伏野宇目線旗返峠だ。何故この道は地図上から消されなければならなかったのだろうか?1996年初めて旗返峠に立ったその日から、10年の時を経て、遂に謎多き県道の実態が報告書によって明らかとなる。

 

旗返峠5

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最初に現れた最も頭を悩ます二股から、ここへ辿り着くまでにいくつもの枝道が存在したが、そのどれも左へ進めば旗返峠へ辿り着く事が出来る。そしてここが最後の分岐だ。えっ?よく分からない。それでは説明しよう。確かにススキやら松やらが路面上に生えまくり何がなんだか判然としないという意見は尤もでござる。それは現地とて同じ事。全く訳が分からないのだ。

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ただ結論から言ってしまえばこれは本当に県道なのだ。視界前方にはピッチの狭い植林杉がひしめき合っているのが見える。それらは地上から10mほどが枝打ちされ、奥が透き通って見えるはずだ。そこに薄っすらと左下から右上にかけて斜めに線が入っているのが、お分かり頂けるだろうか?それが県道なのである。足元が草木でほとんど見えない状態の分岐、そこも左である。

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ここは枯れ草に覆われ、その下にガレ場が隠れているからたちが悪い。それに以前の記憶にはない中太の木が、道のど真ん中に直立している。10年前はまだ苗木に近い存在だったのだろう。枝打ちがされている事から、人の手がここまで入ってきている事は間違いないが、焚き火の広場からは歩いて入山しているに違いない。ここまで車両が入ってきていない事は、道の真ん中ですっかり根を生やした若木が証明している。

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どちらも作業道のようにしか見えない最後の分岐を左へ進んだ県道は、直角に近い形で右へと進路を取り、更に上を目指すべく急斜面となって、峠へ挑む者をそう簡単に受け入れはしない。但しこれまでハンデとなっていた大きな溝は鳴りを潜め、ここだけなら四輪でも楽勝のように見えなくもない。ここにガードレールのひとつでもあれば締まりがあって良いのだが、相変わらずだらしのない道程は続いた。

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いったいどうすればここが県道である事をうまく伝えられるのだろうか?いくらこの道を知り尽くした僕でも、状況が状況なだけに全く弁護のしようがないのである。いくらいい人ですよと言われても、寺島進氏はどう見てもチンピラであるように、見た目が重要である事は人も道路も変わらない。となるとビジュアル的にどう見ても作業道にしか見えないこの道に、何かひとつ決定打が欲しい。

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誰もが納得できる単純明快な物的証拠を提示したい。だがヘキサを最後にこの道には残念ながら人工物のひとつもない。道路だって山肌を削っただけで、黙っていれば自然に還り行くだけの、ある意味環境負荷を必要最小限に抑えたエコロードとも言える大分県道706号伏野宇目線。だがもう焦る必要はない。

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ここまで能書きをぶっこきまくり、必要以上にページを割いた感は否めないが、もう多くを語る必要のない境地に達した。大型車同士の離合さえ許すであろう幅広の平坦路。そう、ここが目的の地旗返峠である。峠の広場は10年前とほとんど変わらぬ姿でそこにあった。

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