ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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旗返峠(4)

★★★★

 

旗返峠の取扱説明書

新道が完成し旧道と化した区間や、用を終えた林道が廃道化したなどの理由により、地図上から抹消されるという現象は、然程珍しい事ではない。だが新道やバイパスのような迂回路が完成した訳でもないのに、人知れず静かに消されて行く道が、極稀に見られるのも事実だ。その象徴的な物件としては戸谷隧道が挙げられる。そしてここ大分にもそんな不可解な物件がある。それが県道706伏野宇目線旗返峠だ。何故この道は地図上から消されなければならなかったのだろうか?1996年初めて旗返峠に立ったその日から、10年の時を経て、遂に謎多き県道の実態が報告書によって明らかとなる。

 

旗返峠4

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実はもうこの時点でこの怪しい道が峠へ繋がっている事を確信していた。転回場所から始まるガレた道、それだけははっきりと覚えていた。当時より若干溝が深くなってはいるものの、そう大きな変化は無かった。初めてこの旗返峠に挑んだ時も、事前調査も何もせず、ただ訳も分からず現地へと突撃した。その時は焚き火跡の残る転回場所から引き返そうとしたのだ。

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何故ならばそれより先が余りにもガレていて、どう見ても作業道のようにしか見えなったからだ。それは今とて同じ事。当時既に車両が通っていたような痕跡は何ひとつ残されておらず、ここが県道である事は十中八九有り得ないと思った。まだこの世界では走り出しと言ってもいい当時の僕は、ここが県道では無いと結論付けた。そして10年経った今、冷静に路面状況を観察してもここが県道では無いと断言出来る線形に驚きを隠せない。

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この10年で僕も様々な道を見てきたし、それなりに判断は付くはずだ。いくら何でも当時と同じように映るはずがない。しかし今こうして再び目撃した道は、どう転んでも単なる行き止まりの道で、今ではもう完全に使われなくなってしまった作業道のようにしか見えないのだ。林道ではない、作業道だ。山肌を削るだけ削って最低限車両を通せる状態にする。

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その対象車は山仕事の関係車両のみであって、一般車両の事は考慮していない。従って勾配はきつく、路肩も軟弱で法面は地肌剥き出し、それに木材の切り出しなどが終われば、用無しの期限付き道路である。そんなものに予算と時間を投じるはずもなく、当然簡素な物となる。これが林道であれば話は別だ。今後も定期的に使う道であるならばもう少し上品に造るはずだ。

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ここにはガードレールも無ければ、カーブミラーも無い。法面も地肌剥き出しなら、道床にも手が加えられていない。警戒標識も無ければ、案内板も無い。ここには一切の人工物が存在しないのだ。深く抉れた溝にしゃがみ込んで路盤を見てみたが、林道のように路面が幾重かの層には分かれてはいなかった。つまりこの道は斜面を削って砕石を撒いただけの作業道という線が濃厚なのである。

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言い換えれば出来の良いブル道で、ここが県道などとはとても思える代物ではない。多くの道路形態を見てきたベテランほど、この道は早々とパスするはずだ。だが残念な事にこれが県道なのである。今尚点線ではあるが、旗返峠を越す正式な県道なのだ。ただ正確を期すならば、既にこの時点で点線区間に突入していると思われる。

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市販の地図では実線で描かれている終点は恐らく焚き火の転回ポイントに違いない。それより先が点線区間で、それがこのガレガレ状態ならば納得がゆく。逆に考えれば点線区間が歩道サイズではなく、明らかに車両を通していた幅員である事は、峠を越せる可能性も見えてきたという事だ。

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