ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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旗返峠(6)

★★★★

 

旗返峠の取扱説明書

新道が完成し旧道と化した区間や、用を終えた林道が廃道化したなどの理由により、地図上から抹消されるという現象は、然程珍しい事ではない。だが新道やバイパスのような迂回路が完成した訳でもないのに、人知れず静かに消されて行く道が、極稀に見られるのも事実だ。その象徴的な物件としては戸谷隧道が挙げられる。そしてここ大分にもそんな不可解な物件がある。それが県道706伏野宇目線旗返峠だ。何故この道は地図上から消されなければならなかったのだろうか?1996年初めて旗返峠に立ったその日から、10年の時を経て、遂に謎多き県道の実態が報告書によって明らかとなる。

 

旗返峠6

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さて今度は逆側から攻めてみたいと思う。峠の真髄を知ってしまった今、これ以上もったいぶっても仕方がないので、結論から先に言っておこう。旗返峠は通り抜け不能な物件である。10年前には既にポシャっていたのだ。それを踏まえた上で話を進めて行く事にする。県道706伏野宇目線は旗返峠隧道を抜け、本来はこの分岐へと抜け出てくるはずであった。いや、“はずであった”という表現は適切ではない。

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しっかりと抜けているのだ。但し隧道がポシャってなければの条件付だが。分岐点には停止線もなければ、青看も無い。標識もなければヘキサも無い。だがこの分岐がかつての国道と県道の分岐点だと言ったらあなたは信じられるだろうか?いくら時代はセルフサービスが当たり前とは言え、ここまで何も無い状態で、お宅等で勝手にやってちょうだいと言うのは、いかがなものだろうか。

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確かに現在はそのどちらも利用する人は皆無に等しく、ほとんどの車両は背後に聳える高速道路のような現道を、猛スピードで駆け抜けて行くのである。遥か頭上に架かる巨大構造物を見上げながら、何もかもが先の見えない何処かへ向かって、ただ闇雲にスピードアップを図り、無駄に生き急いでいるように見えるのは、僕だけではないだろう。

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ただここだけは完全に時が止まっていた。旧国道の交通量は下手すると片手で足りるほどの台数しか通らない日もあるのではないだろうか。ましてや行き止まりと分かっている県道などは誰も近づきやしない。たまに間違って進入するとか、興味本位で突っ込んでみるといった変わり者が、祝祭日を利用してやって来るのが関の山で、平日では間違いなく閑古鳥が鳴いている。

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そんな忘れられた県道にも人の手が入っていた。気の遠くなるような年輪を重ねた巨樹が沿道には幾つか存在する。もうじきそれらも切り倒される時がやってくる。前回やって来た時にはまだ台風の爪痕が残り、峠への到達は早々と断念したが、今回それらは一掃されていて、実質通り抜け不能とは言え、そこは流石現役の県道である。しっかりと補修されているのだ。

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分岐から続く1車線の舗装路は、単車と四輪の離合が楽に行えるほどで、大型車が入ってきても全く問題のない規格を有している。但し離合箇所は皆無であり、この県道は果たしてどのような役割を担っていたのかは全く分かっておらず、今もってその真相は闇の中だ。もう何度もこの地へ足を運んでいるのにも関わらずひとつの証言も得られていないのだ。何故だ?

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峠を中心とした両側にある最終集落への聞き込みを徹底すれば、何等かの手掛かりは得られるかも知れない。また山仕事のおいちゃん達にでも遭遇すれば、面白い逸話のひとつも聞けるやも知れぬ。だが残念な事にこの県道内及び近隣において誰一人とも遭遇した例が無いのだ。ましてや車両などは言わずもがな。

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