ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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旗返峠(7)

★★★★

 

旗返峠の取扱説明書

新道が完成し旧道と化した区間や、用を終えた林道が廃道化したなどの理由により、地図上から抹消されるという現象は、然程珍しい事ではない。だが新道やバイパスのような迂回路が完成した訳でもないのに、人知れず静かに消されて行く道が、極稀に見られるのも事実だ。その象徴的な物件としては戸谷隧道が挙げられる。そしてここ大分にもそんな不可解な物件がある。それが県道706伏野宇目線旗返峠だ。何故この道は地図上から消されなければならなかったのだろうか?1996年初めて旗返峠に立ったその日から、10年の時を経て、遂に謎多き県道の実態が報告書によって明らかとなる。

 

旗返峠7

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

路面はある地点で突如砂利道へと変わった。それまでも路面は抜本的な改修がされていた訳ではなく、あくまで簡易舗装をされているに過ぎないのだが、それは意図しない地点で、それまで下界から繋いできた工事が、突如何等かの原因により中断されてしまったかのようにプッツリと途切れていた。恐らくそこより先が地図上の点線区間だと思われる。分岐点からひとつもヘキサは見られないが、ここが県道である事は間違いないのだ。

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何故ならこの先に潜む旗返隧道の坑口を僕は既に拝んでいるからだ。それもこちら側に限って言えば、片手では足りないほど、行き止まりと分かっている道を、何度も繰り返し往復しているのだ。初回のみ旗返峠を目的としたものであったが、それ以外は他の物件のついでに寄り道程度の入山であった。

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荒廃の度合いを確かめるというのは副次的な目的で、主目的は山仕事に従事するおいちゃん達もしくは、山菜取りなどにやってきている原住民に遭遇し、謎のベールに包まれたこの県道の実態を把握する事にあった。しかしこんな行き止まりの人口樹林に覆われた面白くもない山に人の影など見るはずもなく、お約束通りこれまでにただの一度もホモサピエンスと遭遇した例はない。

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砂利道にタイヤ痕は刻まれておらず、利用頻度など語るべくもないが、枯れ草には薄っすらとダブルトラックが見て取れる。それに今回の取材では倒木などが除去されているだけでなく、足元の斜面にあったはずのおびただしい量の杉が伐採されており、辺りは完全にハゲ山と化していた。ガードレールが無い事によるものなのか、路肩ギリギリの杉だけは残され、その杉並木が街道っぽさを醸し出し、いつカーブの先から馬車が現れても不思議ではない状態であった。

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峠の向こう側に比べれば路面状態は幾分ましで、距離も多少短い事からテクニックを要求される事はなく、四輪でも峠の直前までは到達可能だ。路面は相変わらずガレていて、それを落ち葉が覆い隠しているので、過信は禁物だが、ある程度のスピードで巡航が可能なのも、こちら側の専売特許である。

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ぶっきらぼうに斜面を削っただけの道路は、さもそれが当たり前のように平然と奥へ向かって続いているが、峠の向こう側に負けず劣らず、こちらも県道の常識を大きく逸脱している。同じ路線なのだから当たり前と言ってしまえばそれまでだが、旗返峠に向かってそれぞれから延伸してきたであろう道路工事に多少の差があってもいい。

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しかし何故かこちら側も申し合わせたように、ヘキサも警戒標識もカーブミラーもガードレールさえひとつも存在しないのだ。なのに地図上では黄色くなぞられた現役の県道。そこにはゲートも無ければ通行止の看板も無い。もし峠を越せる自信があるならば、いつ何時旗返峠に挑んでも構わない。ただし正面きってまともに攻略する事は不可能なのだ。

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