ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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天の川峠(北海道道120号美深中頓別線)

★★★

 

天の川峠(北海道道120号美深中頓別線)の前説

北海道道120号美深中頓別線天の川トンネルの開通が1994年12月であるから、当然それ以前は峠越えをしていた訳で、その状態は砂利道のまま今でも残っている。ほぼ全線2車線の快走路と化したこの道において天の川峠は、現在でも唯一この路線の昔の姿を残す大変貴重な峠越えルートと言える。

 

天の川峠(北海道道120号美深中頓別線)

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北海道道120号美深中頓別線は、今でこそ2車線の快走路となっていて、その核となるのが天の川トンネルだ。トンネル完成以前の峠越えは旧道化した現在でもしっかりと残っていて当然通行も可能だ。勿論旧道は砂利道で、かつての道道120号線の姿をしっかりと今に伝えている。天の川トンネルの手前には立派なトイレが設置されたパーキングがあり、長丁場の道道120号線において

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絶好の休憩ポイントとなっている。駐車場から見る徳志別川の景色は夏の晴れた日も川面からの照り返しが眩しくそれなりに記憶に残る風景が堪能できるが、やはり紅葉時は格別である。天の川トンネルを抜けた先から分岐するのが旧道で、すぐに砂利道となる。凹凸のある路面で導かれると青看が出現する。旧道の残骸とも言えるがこの道を直進すると

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道北スーパー林道へと直結している為現在でも交通量がそこそこあり、青看は現役であると言える。旧道はそこで左折となり完全1車線の上り道となる。見通しの良い直線と緩やかなカーブによって構成された道路状況は林道とは明らかに規格が違う。山の中に分け入ってはいるのだが妙に開放的で閉塞感はまるでない。勾配もなだらかで緩やかな峠越えである。

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やがて町界に達するが駐車場もなければ離合可能な待避所すら無い。長く平坦な路面で町界を迎える為峠らしさは全く感じられない。また峠は尾根筋ではない為遠くの風景とは無縁で周囲は鬱蒼とした森でしかない。こんな何もない峠であるがその名称も不明であった。天の川峠というのは便宜上付けた名称で正式名称ではない。この下を走る天の川トンネルから

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拝借したに過ぎない。峠から少し下った地点にある分岐が風徳林道で、この峠越えルートに唯一存在する抜け林道で、そこで目にする物はそれぞれの目にどう映るのだろうか?鉄道の営業成績を示す数値で収支係数というのをご存知だろうか?100円の収入に対しいくらの経費を必要とするかというもので、収支係数が100でトントン80なら充分利益が出ている

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という訳で当然120なら赤字という事になる訳だが、この収支係数で4000近い数値を叩き出し日本一の赤字路線の称号を与えられたのは、天の川トンネルを通る事なくして廃線となった美幸線である。そう、道道120号美深中頓別線の核を成す天の川トンネルは美幸線の残骸を利用したものなのだ。天の川トンネルの所有者であるJR側と道道を管理する開発局側で

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どのようなやりとりが行われたかは定かでないが、放置されていた鉄道遺構を利用したのだから両者共にバッチグーであったと思われるが、もし天の川トンネルの存在がなければ2車線の快走路で峠越えを果たしていたのではないだろうか?そう思える程緩い勾配で標高も低い峠であるが、結果的には天の川トンネルが峠越えの旧道をまんま残してくれた訳だ。

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