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評議峠(旧国道４２号線／熊野街道)（６） ★★★★ |
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評議峠(旧国道４２号線／熊野街道) 世界遺産に登録され大変な賑わいをみせる熊野古道。熊野市駅を発つと最初に待ち構える難所が松本峠と呼ばれる竹林を縫う人の通行がやっとの小径で、駅へ降り立ったジジババダンサーズのほとんどがそこを目指す。松本峠は牛馬と人の通行しか許さない完全なる人道で、中世から江戸末期までは熊野道と呼ばれ、当地きっての主要路として活況を呈していた。だが時代が明治へと移り変わると、荷車が通せる車道の開削を叫ぶ声が日増しに強まり、それまで主要路であった松本峠→大吹峠→二木島峠・逢神坂峠→曽根次郎坂太郎坂→八鬼山越を経て尾鷲に至るルートがあまりにも峻険につき、測量の結果車道の建設は不可能であるとの結論に達した。そこで急遽代替案として白羽の矢が立ったのが、それまで間道と呼ばれ全く日の目を見なかった裏道の評議峠→小阪峠→矢ノ川峠を経る下級道路であった。獣道に毛が生えた程度の今にも途切れそうな頼りない道筋が、明治初期車道規格として装いも新たに熊野新道として産声を上げた。当路線は後に馬車道から自動車道へと拡張され、押しも押されもせぬ近現代の主要路として発展して行く事となる。その後継となる現在の佐田坂が、紀伊半島を取り巻く主要国道の称号を手に入れられたのも、評議峠の存在があったからこそで、評議峠はR４２の原型つまり旧国道という位置付けは何等揺るがない。熊野古道から覇権を奪い、後に国道へと昇格する折り紙付の血統書を手に入れた評議峠。それを決定付けたのが他でもない木本（熊野市）尾鷲間を評議、小阪、矢ノ川の三強峠を越し、定期便で結んだ史上最強の路線バスである。国鉄バスも走ったという歴史ある峠道も現在は林道へと格下げされ、通る人もままならないほどすっかり寂れている。一度は栄華を極めた評議峠を、現代の鉄馬ヘナリワンで夢の跡を追った。
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 林道野郎として撮影無しで足早に駆け抜けた前々回、全道程の約半分がアスファルトの餌食になった前回と立て続けに評議峠を特定できなかったのは何故か？その原因は峠の形状にあった。視界前方に立ち塞がる山塊に見られるV字曲線と、そこに見る切り通しという判で押したような峠の形状ならば、目を瞑っていても分かりそうなものだが、評議峠はこれよりも先へと続く尾根筋の、右斜面から左斜面へと斜めに鞍を跨ぐ、なんだかな〜by阿藤快適な形状をした峠なのだ。 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR ここまでは左側の壁面を背にして右側の谷底と、それを挟んだ向かいの山を望むという図式であったが、尾根を跨いだこれより先は左右対称となり、左側の視界が開けてくるのである。尾根を跨いだ直後に見る左側の斜面は、大部分が人為的に削られ、平坦な敷地が確保されている。 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 今ではすっかり植林された杉林に頭上のほぼ全てを覆われ、日光をほとんど透過させない空間は、昼尚薄暗く薄気味悪さこの上ない。猪用の仕掛があるそこには、かつて人が暮らしていたような跡がいくつか見られ、その外壁は乱れ積みではあるが、石垣によって囲まれていた。評議峠に見る家一軒が建つ広さの平坦な敷地。かつて峠付近では田畑が耕され、人が暮らしていたのはほぼ確実。となると結論はこれしかない。 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR かつてここには評議峠と書かれたバス停があった。オーバーヒート寸前で駆け込んだボンバスは、ここで数分間の停車にて、熱のこもったエンジンを冷ます。運転手さんも乗客もここで一服。皆にお茶が振舞われ、それが一服の清涼剤となった。お持て成しをしたのは誰か？それは他でもない、ここに茶屋を構えていた主である。そう、今では薄気味悪い異空間と化したこの場所が、かつての茶屋跡なのだ。 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 茶屋跡より道路を挟んで真向かいにも、尾根の一部を削って拓いた平地が存在する。左の画像がその場所であるが、そこも家屋が占有していたのは間違いなく、評議峠には最低でも二世帯が暮らしていたのは明らかで、後に知った事だが小阪物語（著：森田秀）によると評議峠にはなんと茶屋が二軒、道路を挟んで向かい合っていたとある。しかもうどんを提供していたとの具体的な記述まであるのだ。 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR これで本広克行監督の次回作「UDON２」の撮影地は評議峠に決まった。主演は勿論ピースケキャンタマリアで、ヒロイン役には同じコニタンでも初代コニタンこと小西博之氏を投入。向かい合う茶屋の主人同士がいがみ合いから、いつしか禁断の愛に目覚め、夜な夜な繰り広げられる激しいけだもののような肉弾戦より発せられた山中に轟く断末魔を、ボンバスのけたたましい騒音が見事に掻き消す、甘く切ない恋物語。 |
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ドライブ＆ツーリングのネタ帳ORR 古き良き昭和初期を背景に、見てはいけないものを見てしまった通りすがりの旅人トータス松本の視点から描かれるピュアなラブスートーリーUDON２。映画「道」を遥かに凌ぐ興行収入を叩き出すであろうUDON２。怖過ぎる、けど見てみたいUDON２。 評議峠７へ進む 評議峠５へ戻る |
