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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

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堀越峠

★★★

堀越峠の前説

雰囲気が林道とは明らかに違う未舗装の峠越えルートだが、ここ周山街道に歴史を感じてしまうのは我々だけではあるまい。初心者にもおすすめの森林浴満喫のロマンある歴史街道である。

堀越峠1-1

◆堀越峠1:明後日の方向へ延びる旧道

若狭湾を背にし京都へ向かう国道162号線上に、未だに未舗装のまま残されている古い峠がある。堀越トンネルを中心に前後共にフル新規格で造られた行程は、大型車にも充分対応できる立派な規格で、旧道とあまりにもかけ離れた容姿は、新旧道の交点の様子である程度の察しがつく。

京都方面へ迷わず突き進む本線に対し、明後日の方向へくるりと反転し、無駄に距離を稼ぐ様がいかにも旧道といった感じだ。案内板等は設置されていないが、道中にこれほど目立つ支線も他に無く、手慣れた者であればそれが旧道と気付くのにそれほど時間はかからないだろう。

堀越峠1-2

◆堀越峠2:杉木立の間を貫く山道

旧道はいきなり砂利道で始まる。滑り出しはやや凹凸が激しく、車体が大きく揺さぶられるが、路面はすぐに安定する。杉木立の中を行く旧道は、大型車一台がやっとの狭路だ。ただ幅員は平均3.5m超と広く、一般車両にとっては申し分ない規格にある。

勾配は基本的に緩く、腕に自信の無いサンデードライバーでも受け入れる懐の深さは、流石元国道といった感じだ。安定感では並みの未舗装路林道より頭一つ抜けている。但し道中には崩れてきた土砂が堆積し、路面全体が傾斜掛っている箇所があるので、走行の際は細心の注意が必要だ。

堀越峠1-3

◆堀越峠3:ヘアピンカーブ

谷底に向かって路面全体が斜めに傾く区間では、当然車体も傾き不安に駆られるだろう。多少チビるかも知れない。漏らすかも知れない。身が出てしまうかも知れない。例え身が出たとしても動揺せずに平常心で通過したい。危険区域においては慌てた方が命取りである事を肝に銘じて挑んで欲しい。

林道名頭線との分岐を過ぎると尋常でないヘアピンカーブが出現する。ここをかつて乗り合いバスが往来していたという現地情報も得ているが、現状からは全く想像が付かない。現道だった時分、重ステのマニュアルバスでこのコーナー反転させた当時の運転手さんは相当豪腕だったに違いない。

堀越峠1-4

◆堀越峠4:切り通し

NTT専用線との分岐を過ぎると、幅員が5mを超える実に広々とした直線に抜け出る。ついついダブルトラックに気を取られ、本来の規格を見失いがちだが、二条の轍以外をびっしりと覆い尽くす緑の絨毯が本来の幅員であり、その最大幅は大型車同士の離合を許す規格にある。

掘割の先で山道は下りに転じている。その事はもうこれ以上高度を稼がない事を意味する。路上からほぼ垂直に立ち上がる左右の壁面は、明らかに人工的に切り崩されたものである。稜線をパックリと割る直線の幅広道、この掘割こそ当山道のサミット即ち堀越峠である。

堀越峠1-5

◆堀越峠5:路面状況が大幅に改善される京都側

大型車同士の交換、或いはバス同士の交換も行われていたかも知れない。峠にはそう思わせるに十分なスペースが用意されている。道中に人の気配は一切感じられないが、その昔は峠にバス停が置かれていた可能性もあり、トンネルが出来る前の山道は、そこそこ賑わっていたとしても何等不思議でない。

壁のように聳え立つ巨大な杉林が視界を遮り、峠からの眺望は全く利かない。一服して下りに転じると、状況は一変する。なんと幅員が平均4mへと広がり、おまけにガードレールまで出現し、路面状況も大幅に改善されているのだ。この安心感は小浜側の比ではない。

堀越峠1-6

◆堀越峠6:新設のコンクリ橋

格段に走り易くなった京都側では、ついついスピードが出てしまいがちで、実際にガードレールの損傷具合は半端ではない。それが積雪による影響なのか車体が体当たりしてのものなのかは定かでないが、ガードレールは尋常でない歪みと一部消失という現状で、過酷な峠越えの状況を訴えかけている。

人工物が皆無に等しい小浜側に対し、京都側には道路付帯設備が目立つ。それらは旧道化してから設置されたとも考えられるが、トンネルが開通するまでの間少しでも道路状況を改善すべく、京都側から改良してきた痕跡と取れなくもないし、現場の状況を見る限りその可能性は大いに有り得る。

堀越峠1-7

◆堀越峠7:新旧道の交点(京都側)

京都側には小川を跨ぐ小さな橋梁が架設されているが、それも一昔前は木橋であったはずだ。残念ながら現在は趣のないコンクリート製のものに付け替えられている。とはいえ旧道は起点から終点までのほぼ全てが当時のまま残されており、京都側は若干整備の手が入っているが、それでも未舗装である点は秀逸だ。

杉山を右往左往する砂利敷きの山道は、国道162号線が周山街道と呼ばれた時代の雰囲気を色濃く残しており、カーブを曲がると今にもボンネットバスが現れそうな旧国道の峠道は、現状を維持したまま次の世代に渡したい大変貴重な道であった。

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