ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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鹿路越(3)

★★★★

 

鹿路越の前説

紀伊山地の霊場と参詣道の北の玄関口として世界遺産に登録され、桜を筆頭とする花の名所としても全国にその名を轟かせる吉野山と桜井を結ぶ奈良県道37号桜井吉野線。ほぼ同区間を芋ヶ峠越えの県道15号桜井明日香吉野線が並走しているが、石舞台古墳などの古代遺跡群を繋ぐ観光色の強い県道15号線がほとんど往年の姿を留めるのとは対照的に、物資運搬やスピーディーな移動を要求されてきた歴史があるのか、県道37号線は新旧供にトンネルにて通され、どうもビジネス色が勝っているような気がしてならない。近年2500mに達しようかという長大トンネルが突かれ、ますます利便性が高まった鹿路越。役目を終えた旧道で、僕は一昔前のビジネスロードを見た。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

吉野側に抜けた直後に、幅が1.5mほどもある側溝の対岸に、朽ち果てた木橋と奥へ続く山道を発見。車両云々という余地は些かも無いが、単車ならばどうにかなりそうな気配の気になる小径。

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鹿路隧道を抜けると僅かな平坦区間を最後に旧道は下りへと転じるが何やら様子がおかしい。桜井側はセンターラインの敷かれた緩やかな二車線路であったのに対し、コンクリ舗装の激坂へと急変。

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更に見通しの悪い急カーブの先に待ち構えていたのは完全一車線の狭路。一時的に離合箇所が設けられているものの、それは激しく的外れな激坂の途中で、県道としては完全に規格外の異常事態。

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下れば下るほど勾配は更に斜度を増し、早くもこの時点で全国の主要路激坂ランキングでトップテン入りが確定!一箱しか荷物を積んでいないヘナリワンでさえ、場所を選ばねば自動発進する始末。

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全国に先駆けてフルオートマティックナチュラルスターターシステムを採用した県道37号桜井吉野線は、この分岐点で一旦落ち着きを見せ、ドライバーを一瞬油断させる。だが次の瞬間再び悪夢が。

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激狭フォー!激坂フォー!石垣フォー!壁面は昭和30年代に積み上げられたとは思えない年代モノの石垣によってびっしりと覆われ、桜井側とは何もかもが比較不能な別次元の世界が展開していた。ジェットコースターを乗り終えた直後のような脱力感に見舞われつつ現道へと雪崩れ込む。

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2003年6月に新鹿路トンネルが開通するまでたった今降りてきた道が主要県道?嘘だ!しかし非情にもこの日偶然居合わせた旧道保存会の方々より、木橋の正体が旧旧道である事、冬期の通行はかなり神経を遣った事などの貴重な証言を授かった。恐るべし県道37号桜井吉野線鹿路越。その実態は近年稀に見る驚愕の激坂であった。

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