ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

トップ>隧道電撃ネットワーク>南近畿>奈良>鹿路隧道

鹿路隧道

 

鹿路隧道の取扱説明書

車道としてはそれほど長い歴史を持つ訳ではない県道37号桜井吉野線。車両の通り抜けを果たせぬまま行き止まりの県道として特に注目される事もなかった鹿路越に待望のトンネルが貫通し、桜井吉野間を結ぶ最速路線の称号を得たのが昭和41年の事。それまでの徒歩による往来から、一気に対面通行が可能な近代的なトンネルへと華麗なる変貌を遂げた鹿路越。当時としては主要県道の面目を保つには必要にして充分な規格であったはずの鹿路隧道も、老朽化と更なる利便性を求める地域住民の声に押され、その座を新トンネルへと明け渡し、現在は市町道として細々と余生を送っている。

 

image001.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

旧旧道の先行調査により、鹿路越に初めて車両を通したのが鹿路隧道と判明。昭和41年のトンネル開通以前は、人馬しか通さぬ鼠返しの県道であり、旧旧道ですれ違った登山客からも証言を得た。

image003.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

昭和41年に開通といっても工期は昭和30年代から始まっていると考えれば、掘割壁面に石垣が用いられているのも合点である。トンネル内における高低差が無いのか出口の明かりが確認できる。

image005.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ポータルは昭和中期製らしい装飾を持たない無味無臭のコンクリ製で、機能を重視したシンプルな構造はある意味韋駄天。扁額に竣工当時の知事名が刻まれるのもお約束。内部は今尚照明が点灯。

image007.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

延長570m、高さ4、5m、幅4、5m、内壁及びポータルは全面コンクリ覆工で、路面はアスファルト。チャリや歩行者は肩身の狭い思いを強いられ、日常的に身の危険を感じていたであろう。

image009.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

桜井側とは瓜二つのポータル。一部にひび割れが確認され、引退理由のひとつとして老朽化も無視できないが、市町道になった現在も使われている事から、封鎖はされないようである。

image011.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

日本にモータリゼーションの波が押し寄せた時期の竣工でもあり、時代背景から自動車同士の対面通行という点では充分な威力を発揮したが、大型車同士の離合不能という問題が引退時期を早めた。吉野側より望む稜線への道程は険しく、

image013.jpg

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

車両が通れるような道跡は確認できない。また旧隧道より拡張されたのではないかという推論も、山仕事に従事するおいちゃん達に完全否定され、鹿路越における車道の歴史は二世代である事が確定した。

鹿路越3へ進む

鹿路越2へ戻る

トップサイトナビゲーター管理人について感想・お問い合わせ