ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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深谷峠

★★★★

 

深谷峠の前説

199912月新深谷トンネルが完成する以前この県道は深谷峠を越えていた。峠は隧道で突かれているがその道程はなかなかいい雰囲気を持っている。峠の手前には駐車スペースがあり、杉木立の森林浴が満喫できる好ルートだ。但し道中は狭く厳しい。そして何と言ってもこの峠のメインディッシュは深谷隧道である。

 

深谷峠[ORRの道路調査報告書]

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この県道にあるターゲットに当初から狙いを定め、計算通りこの地へとやってきた。地図上から読み取った様子とは若干相違があるもののほぼここまでの道程はイメージ通りと言っていいだろう。想像と大きく違っていたのは目の前に立ちはだかる山脈のデカさと高度をこれ以上稼ぐ事なく一直線で山塊の懐へと突き進む現道の豪快な線形であった。勿論旧道のショボさも際立っていたのは言う間でもない。

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旧道への取り付けを確認し一旦新トンネルへと向かう。そこには超最新工法による近代的なトンネルが待ち受けていた。新深谷トンネルの銘板を見ると199912月竣工とあり完成してからまだ日が浅く出来たてホヤホヤと言っても過言ではない新品同様の状態であった。高度を上げる事なく山裾をぶち抜く現道に対し旧道はあまりにも酷かった。

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現道からの取り付けを見て分かる通りそれはそれは狭い山道で完全1車線の極狭道が延々と続く。但し離合ポイントが数ヶ所設けられているので車にとっては安心材料ではある。それでもガードレールは無く勾配のきつい道程は厳しいと言わざるを得ない。岩盤剥き出しの荒々しい側壁が続きかなりの急斜面に道を通している事が分かる。

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現道との分岐から見た稜線は果てしない高さで、旧道はいったいどこまで上昇するつもりなのだろうか。深谷峠に隧道が突かれている事は承知で訪れているので、旧道がどの辺りで妥協するのかが焦点であったが意外とあっさり峠に達し僕はそこで戦慄の深谷隧道を目の当たりにする。上を見上げれば稜線は果てしなく遠く峰越えは完全に不可能な高さだ。

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稜線付近は傾斜もきつかろう。峰越えという選択枝は当然無く、昔の人も深谷峠に自動車を通すには隧道以外考えられなかったはずだ。それにしても旧道は稜線にそれほど近付く事なく山脈の中腹付近で早くも諦めモードとなり、そのツケは隧道の長さに跳ね返り結果的に深谷隧道は長大隧道という形を余技なくされ世にも恐ろしい姿で我々の前に出現する事となった。

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峠手前は両側共にかなり広めに取られており、傾斜ではあるが車数台が駐車可能なスペースが確保されている。また隧道手前には深谷峠の隧道開通記念碑が建立されている。深谷峠に道路が通される事をいかに待ち侘びていたかがわかろうというもの。それは下りの側壁にも現れていた。当初コンクリによるものと思われた側壁は打込ブギにより丁寧に積み上げられた立派な石垣によって築かれていたのだ。

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現在は新トンネルにて峠を意識する事なく越えていける深谷峠も、その昔は頑張って上昇したが中途半端な位置で断念せざるを得なかったという経緯が浮き彫りとなっている峠らしくない深谷峠だが、その道程は狭く厳しく道路を切り開いた当時の人々の苦労が随所に滲み出ていてなかなか味のある峠であった。

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