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〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

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大峠

★★★

大峠の前説

山口市街地と下関市北部の特牛(こっとい)を結ぶ国道435号線は、瀬戸内と日本海を縦に連絡する国道が多い中、県内を東西に横断する数少ない路線として、その存在は貴重だ。全線に亘り二車線が完了する国道の名に恥じない体を成しているが、同路線最大の難所となる大峠には、今も往時の爪痕が鮮明に残る。1991年3月鳳翩山トンネルの開通により引導を渡された峠道は、今どのような状況にあるのだろうか?県道指定された美祢市側は兎も角、市道に降格した山口側の状態が気になるところだ。旧道化して20年近くが経過した大峠の今を訪ねてみた。

大峠(旧国道435号線)1

◆大峠1:国道435号線新旧道の交点

全国に大峠と名の付く峠は数多あるが、直線距離にして僅か10km強という至近距離に、同名のしかも大峠なる意味深な峠が名を連ねているのも珍しい。

周囲をぐるりと山に囲まれた山口市内は、椹野川沿いを除きどこへ行くにも峠を越さねばならず、長崎や函館と同じく、坂道とは切っても切れない関係にある。

峠を筆頭に○○越や××坂といったものまで含めると、その数は膨大で、宛ら山口市は石を投げれば峠に当たる峠王国なんである。そうした背景から同名の峠が存在したところで、然程違和感を覚えるものではない。

大峠(旧国道435号線)2

◆大峠2:余裕ある幅員

但しそれが数ある峠の中でも、極めて特異な存在の大峠となれば話は別だ。

日本にはいったいどれくらいの数の峠があるだろうか?虱潰しに数えた訳ではないが、ざっくりとカウントしても万は下らないだろう。

四輪の通過を許す車道の峠でさえ、一県平均100として4700である。車道峠が凡そ5000という中で、名も無き峠を含めた人道峠となると、一人の人間が生涯かけても把握できぬほど天文学的な数字に上る事は明白だ。

大峠(旧国道435号線)3

◆大峠3:植物の侵攻で道幅が縮小一途の旧道

大峠と名の付く峠は各地に見られ、一見どこにでもある在り来たりな峠という印象だが、巷で思われているほどその数は多くはなく、車道の如何を問わず僕が越した大峠も、実は両手で足りる程度でしかない。

いざ大峠巡りをしようとすれば、そう簡単にホイホイと捕まるものではなく、地図上に大峠の名を求めようとすればするほど、それがいかに希少な存在であるかを知り、想像とは裏腹に余りにも少ない数に驚くに違いない。

考えてもみて欲しい、大峠である。読んで字の如し、その存在は数多ある峠と一線を画す、誉れ高きもののはずである。

大峠(旧国道435号線)4

◆大峠4:狭い切り通し

前途したように、山口市内から脱出するには、どの方角へ向かうにも、峠を越す事が絶対条件となる。網目の如し張り巡らした現代の車道でさえ、その条件を満たさなければならないのであるから、徒歩通行が当然の一時代前の路ともなれば、自らの脚力のみを頼りに、二つや三つの峠を越す事など朝飯前であったのかも知れない。

峠名は前後の集落や土地に纏わる逸話を冠しているパターンが定番だが、大峠はそういった慣習を超越するもので、自力で峠を越す事が日常の世において、大の大人でさえ音を上げるほどの越すに越されぬ難所を、人は大峠と呼んだ。

大峠(旧国道435号線)5

◆大峠5:県道309号線との交点

大峠、動力に頼る事が日常と化した今でこそ、それは単なる名称のひとつに過ぎないが、昔の人間がそれを耳にしたら、戦慄が走り恐らく武者震いしたに違いない。この先に途轍もなく豪く険しい障害が立ちはだかっているのだと。

その昔は峠で生き倒れとなるのは、珍しい事ではなかった。哀れに思った村人や通りすがりの者の手により、どこの誰かも分からぬ亡き骸は峠の傍らに土葬された。そうして旅の途中で息絶えた無縁仏が、全国の峠には五万とある。

並みの峠でもそのような逸話は枚挙に暇がなく、スケールが桁違いの大峠ともなれば、その割合は1.5割増だ。

大峠(旧国道435号線)6

◆大峠6:県道と旧国道の重複区

大峠を名乗る峠はどれもそれなりに険しく、ピラミッドの頂点に君臨するその存在は、誰もが認める脅威である。その代名詞たる大峠があちこちに散らばっているはずもなく、全国的にみてもその数は微々たるものである。

それほど希少な峠が山口市内に二つも存在し、互いを意識できるほどの至近距離にある事は、例外中の例外と言っても過言ではなく、市の東西で双璧を成す両横綱が、どのような歴史を辿り現在の形に落ち着いたのかは非常に興味深いところである。奇しくも両者は現国道のトンネル上に位置し、血統書も共に折り紙付きとターゲットとしては申し分ない。

大峠(旧国道435号線)7

◆大峠7:県道(旧国道)と国道435号線の交点

国道435号線の大峠は大部分が改修済みで、鳳翩山トンネルが開通する直前まで改良を重ねたであろうその痕跡は、今もありありと見てとれ、大型車同士の離合が難儀したであろう区間はそれほど長くはない。

ほぼ二車線化が完了している峠道に、正直なところ食指は全く動かないが、相当な困難を伴う改良の末に、名称とは異なる穏やかな峰に仕立て上げた生い立ちを知れば、この峠に対する印象は全く違ったものになるだろう。

この大峠はその名に恥じない雄大なスケールで、この峠道を余す事無く収めた動画にて確かめて頂ければと思う。

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