ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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松尾峠

★★

 

松尾峠の取扱説明書

忙しい広島市内から離れ、安芸の宮島を過ぎれば、錦帯橋を始め錦川の鵜飼と、時間が緩やかに流れる小京都という趣きのある町に辿り着く。どこか岐阜の長良川に似た風光明媚な土地であるが、唯一岐阜と異なるのは、大小様々な島が宝石のように散りばめられた内海が広がっている事だろうか。勿論道路に関しても特異な物件が一極集中している場所で、単なる観光に飽きた人にとっては結構おいしい場所である。その中から旧道化してまだ日が浅い松尾峠を訪ねてみた。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

最新版の地図によると海岸線から少し内陸部に入った所の県道上に松尾峠なるものが記されている。そこには2本のトンネルが描かれていて、明らかに同一路線の新旧道である事を示していた。早速向かってみる事にした。海沿いからそう離れてはいない場所だけに、僕はのどかな山村風景を想像し、あわよくば海が見えるようなのどかな場所を思い描いていたのだが、そこは僕の想像とは裏腹に傾斜のきつい人も寄り付かないような渓谷のような場所であった。

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全線2車線ではあるものの、断崖絶壁を豪快に削り出した当路線は本格的な山岳道路と言っても過言ではない。道中には人家のひとつもないばかりか、道路以外は何もない陸の孤島と化していた。よくもまあこんな場所に道を通したと感心してしまうような僻地であるのだが、何故か行き交う車両は想像以上に多く、しかも一般車両に混じって商業車両が目立つのだ。

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線形はブラインドカーブの連続で、常に緊張を強いられ、地元車両でなければ夜間の運転には注意が必要な道程である。もしその区間が旧道化していたならば、夜な夜な峠小僧達が集まるようなそんな場所だ。途中に2車線の道が合流しているが、そこには持ヶ峠という看板が立っていて、目指す松尾峠への道ではないようなのでそれは無視して更に先を目指した。

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すると分岐から僅かに進んだ場所に真新しいトンネルがぽっかりと口を開けていた。扁額には松尾トンネルとある。あれれ?するとさっきの2車線路が旧道で、その先に松尾隧道があるということか?という訳で僕は松尾隧道坑口手前に散乱した荷物を慌てて退かし始めた。荷物だけでなく単車やら食べかけの弁当やら辺りはすっちゃかめっちゃでこの時松尾隧道坑口付近は自分の部屋状態となっていたのだ。

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慌てて荷物を退かすも隧道内の閃光は物凄いスピードで急接近する。僕は内心バカヤロー、昼間っから旧道なんか通ってんじゃねーと思いつつも、何とか全ての荷物を端に寄せ、突進してくる車両をやり過ごした。暗闇から飛び出してきたのは商用車であったが、いったい何の為に旧道を通ってきたのであろうか?そいつはスピードを落とす事なく、目の前を一瞬にして走り去って行った。

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嵐は去った。けたたましい爆音は鳴りを潜め、再び元の平和な状態へと戻った。とりあえずホッとして、もう来ないよな?と今一度隧道内に目を向けたが、そこからは涼しい空気が、音も無く流れて来るだけであって、中断した昼食も再開できそうだ。僕は再び路上に腰を下ろし、食べかけの弁当を手にとった。すると何とした事か弁当の表面には大量の落ち葉が投入され、もみじ御膳と化しているではないか!

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あの野郎やりやがったな。明らかに商用車によって巻き上げられた落ち葉が、頼んでもいないのに無料サービスにて松尾ふりかけを投入しやがったのだ。ORRでは現在その逃走車両の割り出しに全力を注いでいるが、いまだに犯人を特定できていない。以上が松尾峠で起こった凄惨な事件である。

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